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いつまでも残業できると思うなよ! 働き方改革から始まる人生ポートフォリオ

  • 前原 はづき氏(株式会社ライフ・ポートフォリオ 代表取締役社長)
  • 川島 高之氏(NPO法人コヂカラ・ニッポン代表/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)
2017.06.21 掲載
株式会社ライフ・ポートフォリオ講演写真

働き方改革を実現する上で、長時間労働の削減は重要なテーマの一つだ。「ワーク・ライフ・ソーシャル」の三つの柱を意識し、「人生ポートフォリオ」について考えることで、働き手主体の働き方改革が見えてくる。本セッションでは、元祖イクボスとして活動するNPO法人コヂカラ・ニッポン代表の川島高之氏と、企業研修に取り組むライフ・ポートフォリオ代表の前原はづき氏がディスカッション。仕事とのよりよい付き合い方が見つかる、「タスク・ポートフォリオ」についても紹介された。

プロフィール
前原 はづき氏( 株式会社ライフ・ポートフォリオ 代表取締役社長)
前原 はづき プロフィール写真

(まえはら はづき)(株)ライフ・ポートフォリオ代表取締役社長。企業の人材開発支援の経験から、「企業」と「個人」双方の視点からキャリアデザインのあり方を考察。2009年、独立し「ライフ・ポートフォリオ」の考え方を提唱。2015年(株)ライフ・ポートフォリオ設立。現在、働き方改革やキャリア研修を中心テーマとして活動。


川島 高之氏( NPO法人コヂカラ・ニッポン代表/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)
川島 高之 プロフィール写真

(かわしま たかゆき)1987年三井物産入社、2012年グループの上場会社社長に就任。イクボス式経営で利益8割増、株価2倍に。2016年に社長退任し独立。ワーク・ライフ・ソーシャルの「3本柱の人生」を提唱し、元祖イクボス・働き方改革の旗手としてNPOの活動と並行し講演活動を行う。著書『いつまでも会社があると思うなよ!』


第一部 トークセッション:「ワーク・ライフ・ソーシャルで考える人生ポートフォリオ」

最初に、NPO法人コヂカラ・ニッポン代表の川島氏が登壇した。川島氏は大手商社を経て、4年にわたり関連の上場会社の社長を務めた後、昨年、早期退職。子どもと大人(実社会)の共同事業を行うNPO法人を立ち上げた。仕事に対する見方が変わったのは、19年前に子どもができてからだと言う。川島氏は人生に必要な要素として「ワーク(しごと)、ライフ(自分ごと)、ソーシャル(社会ごと)の三本柱」をあげる。その上で、参加者に伝えたい四つのテーマを述べた。

講演写真

「一つ目は『人生は一回。だから、ワーク、ライフ、ソーシャルの三つとも満喫するハイブリッドな生活を送ろう!』ということです。一度でもソーシャルに参加した経験があれば、その恩恵はよく理解できると思います。二つ目は『ライフやソーシャルを満喫していると、ワークの能力が高まる。ワークとライフ・ソーシャルはシナジー関係』です。私生活の充実が仕事の能力を高めてくれます。

三つ目は、『部下たちにも、ハイブリッド生活が可能な職場環境を。すると、業績など組織の成果が高まる』。問われるのは、部下の満足度をいかに上げるか。満足度が高まれば、組織への貢献度も高まります。私も経営者でしたが、WLB(ワークライフバランス)は福利厚生でなく、経営戦略です。四つ目は『これらを実現するには、従来の働き方や意識を大きく変える必要がある』。皆で意識を変える必要があるのです」

次にライフ・ポートフォリオ代表の前原氏が登壇。株式会社ライフ・ポートフォリオは「企業と働き手の本音と信頼をつなぐ」をミッションに、企業研修やセミナーを行っている。「時間」という財産のポートフォリオ設計を提唱し、働き手目線でのキャリア開発や働き方改革の支援を行っている。
前原氏は時間配分という観点から人生設計を考える「ライフ・ポートフォリオ」という考え方を紹介した。

講演写真

「私たちが生きていく中で、最大の財産は時間です。時間を使って向き合ったものが個人の財産として残っていきます。私たちは時間の使い方に無頓着ではないでしょうか。ワークだけを切り出してキャリアや働き方改革を考えるのではなく、私生活も含めた時間のポートフォリオとして考えるといろんなことが可視化されます」
仕事の時間のボリュームは決して少なくないため、その時間をどれだけいいものにできるかは生活の充実を考える上で重要なテーマになる。また、仕事を通じて「働く力」を育めば、それが人生を切り拓く武器にもなる。

「キャリアのためのキャリアではなく、自分の人生をよりよくするためのキャリアとして仕事を捉えてはいかがでしょうか。私はいつも『あなたはどう生きたいと思いますか』と問いながら、研修を行っています」

第一部 トークセッション:「いつまでも残業できると思うなよ!」

前原:なぜ今、働き方改革が必要なのでしょうか。

川島:私は管理職向けに、イクボスをテーマに年200本くらい講演します。そこでよく話すのは、「この先、仕事だけでいいんですか」「職場と飲み屋だけの人生で大丈夫ですか」ということです。男性が退職後に「終わった人」にならないためには、現役時代に職場や飲み屋以外に自分の居場所を2、3ヵ所つくることが必要なのです。

前原:一方の女性は、分散投資が得意ですね。稽古事や友人との会食、母親との旅行など、どんどん予定をつくります。

川島:私は今53歳ですが、最近、やたらと同期会があります。しかし、そこでは昔話と愚痴が多いという声もよく聞きます。

前原:男性が付け焼刃でコミュニティーをつくろうとしても、自分に引き出しがないと難しい。1日の生活の時間配分をグラフにしてみると、仕事がほとんどで、家庭は最低限しかない。そのままでは、定年を迎えてある日突然仕事がなくなっても、やることがありません。自分のポートフォリオ設計を省みて、「自分の人生はこれでいいのかな」と思えることが、自分を変える原動力になると思います。

川島:男性よりも、ワーママのほうが時間当たり生産性は高いと言われます。特に夕方のワーママは、世界一生産性が高いかもしれない。男性も子育てをしながら、早いうちに地域に出ていくといいと思いますね。

前原:そのためには、どうすればいいのでしょうか。

川島:ただやりたいことをやればいいと思います。今の中高年はやりたいことを封印してきた世代です。例えば昔、楽しんだことをもう一度やればいい。やりたいことがあれば、人は帰る時間を決めなければならなくなります。それでも成果は下げたくないので、仕事も工夫するようになる。これは部下にとってもハッピーなことでしょう。

前原:私が最近思うのは、日本人のモラールの高さがあれば、残業を減らしても成果を下げないという意識になるはずです。経営者、人事の方は従業員の方々を信じて、働き方改革の旗を振ってほしいと思います。

第二部 タスク・ポートフォリオとは:「重要度×所要時間のマトリクス」

次に前原氏が登壇し、タスク・ポートフォリオ©について解説した。タスク・ポートフォリオ©とは、仕事の中身を4つのカテゴリーに分類して、その仕事との付き合い方を考えていくフレームワークだ。まず前原氏は、タスクマネジメント、タイムマネジメントにおける勘違いについて述べた。

「生産性を高めると言うと、一つの仕事の所要時間を短くして効率化することと思われがちですが、それでは限界があります。発想を転換し、仕事にメリハリをつけて、時間をかけるべき仕事にはじっくり取り組まないと成果の総量は減っていきます」
ここで前原氏は、仕事を「重要度の高低」×「所要時間の大小」のマトリクスで四つの象限に分けて考える、タスク・ポートフォリオを提案する。所要時間の「大」は見積り時間30分以上の仕事。「小」はそれ以下の15分程度で終わらせられる仕事だ。分類した仕事は優先順位をつけるのではなく、その仕事との付き合い方を区分けしていく。

講演写真

最も重要なのは「所要時間大・重要度高」の領域にある仕事との付き合い方だ。
「これは成果に直結するので、しっかり時間を取るべき仕事です。安易に時間を短縮しようとすると、時間をかけるべきこの部分の仕事から削っていくことになる。ホワイトカラーでこれを行うと、クリエイティブな部分の生産性がどんどん下がっていきます。しっかり時間をかけなければならないので、自分アポイントをきちんと取る必要があります」

次に重要なのは「所要時間小・重要度高」の仕事。このゾーンはとにかく溜めずに処理することが大事になる。

「ここに仕事が五つも六つも重なってくると、大幅に頭のメモリーを取られ、作業スピードは落ちてしまいます。そして、この領域の仕事を抱えると、チーム仕事の全体のスピードも落ちてしまいます」

三つ目に注目したいのは、「所要時間大・重要度低」の仕事だ。

「ここをどれくらい軽くできるかが、生産性の向上に大きく関わります。仕事を仕組み化したり、やり方を見直したり、他の人に依頼したりして効率化する。常に全体像を考えて効率化しないと、成果につながる自分アポイントメントの仕事に取り組めないのです」

次に前原氏は、重要度の考え方についても語った。一つは会社の成果につながるものが重要であるのは当然だが、それだけではなく、自分や部下が成長する余地のある仕事も「重要」に位置づける。新しい経験、能力、期待役割などに触れられる仕事は、重要な仕事と位置付けてほしいと言う。

「四半期に1回は、チャレンジとなる仕事が『所要時間大・重要度高』の領域に入っているか、確認してほしいですね。また、ベテラン層が慣れて刺激がなくなった仕事は若手に下ろし、成長機会を作っていくことも大切です。チームで仕事の玉突きをしながらデザインしていくと、皆がストレッチをしながらメリハリを付けられるようになります」

第二部 タスク・ポートフォリオとは:「適切な達成水準を意識する」

前原氏はもう一点大事なこととして、各仕事ごとに「適切な達成水準」を設定することの大切さを説く。なぜなら、すべての仕事で100点を取ろうとすると必然的に長時間労働になるからだ。「可もなく不可もなく、オーダー通り」のレベルを80点とし、80点でいい仕事は80点で止めることも必要と言う。「上司が『80点で問題ない』と意思を示すことで、職場の意識は変わっていきます」

そして、もっと下のレベルでもよいケースがある。「60点:ぎりぎり赤点ではないレベル。間に合わせの作業・処理」の仕事だ。

「60点は合格点ではありませんが、赤点でもないんです。雑だけど、用は足りている、という仕事。60点の仕事を上手に使えるようになると、仕事の進め方は大幅に速くなります。60点の価値をポジティブに捉えることで、仕事の生産性はまったく違ってくるのです。このように仕事のレベルを60点~120点の幅の中で考えるだけで、効率はまったく違ってきます。意識的なクオリティの設定が効率を大きく変えるのです」

ここで、この点数による考え方をさきほどの4象限に重ねてみる。すると仕事のメリハリのつけ方の全体像が見えてくる。

「『所要時間大・重要度高』の領域で目指すべきは80~120点。最低80点は取り、時間の余裕に応じて点を積み上げます。『所要時間小・重要度高』では80~100点。ここは処理スピードが大事ですから、早々に80点までは仕上げたい。『所要時間大・重要度低』は60~80点。ここでは60点という数字が出ますが、『重要度高』の領域の仕事に時間を割いてしまうと、こちら側の仕事はどうしても手間をかけられなくなるということです」と、前原氏は講演を締めくくった。

講演写真
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日本の人事部「HRカンファレンス2017-春-」レポート
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