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HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 日本の人事部「HRカンファレンス2017-秋-」  > 特別セッション [SS-3] 「健康経営」が従業員のやる気・働きがいを高め、組織を活性化する

「健康経営」が従業員のやる気・働きがいを高め、組織を活性化する

  • 山口 恭子氏(株式会社ローソン 人事本部 人事企画 部長)
  • 篠原 貴之氏(SCSK株式会社 人事グループ ライフサポート推進部長)
  • 森永 雄太氏(武蔵大学 経済学部経営学科 准教授)
東京特別セッション [SS-3]2018.01.24 掲載
講演写真

戦略的に従業員の健康を増進することで、企業の業績向上を目指す「健康経営」が注目されている。本セッションではローソン、SCSKによる最先端の取り組みを紹介するとともに、「健康経営」の取り組みがいかに従業員の「やる気」や「働きがい」につながるのかを、武蔵大学・森永氏が、実際に企業が参加して行われた実験事例に基づきながら解説。後半は、質疑応答に続いて参加者によるディスカッションが行われ、効果的な「健康経営」のあり方、導入までへの課題やポイントなどについても深く考える内容となった。

プロフィール
山口 恭子氏( 株式会社ローソン 人事本部 人事企画 部長)
山口 恭子 プロフィール写真

(やまぐち やすこ)1993年4月新卒で入社。店舗勤務後本社に異動。約1年の産休・育児休職取得後2001年復職し人事業務に従事。2012年から女性・外国籍社員・障がい者を中心としたダイバーシティ推進などを担当し、事業所内保育施設・障がい者雇用の特例子会社などを設立。2015年より人事本部 人事企画部長。特例子会社(株)ローソンウィルの取締役も兼任。健康経営銘柄3年連続選定。


篠原 貴之氏( SCSK株式会社 人事グループ ライフサポート推進部長)
篠原 貴之 プロフィール写真

(しのはら たかゆき)1997年、慶応義塾大学法学部を卒業後、株式会社CSK(現SCSK株式会社)に入社、主に金融機関のシステム開発、システム運用業務に従事。2001年、人事部に異動し労務管理・人事制度企画・採用など人事業務全般を担当。2009年、株式会社CSKサービスウェア(現SCSKサービスウェア株式会社)に出向、人事部長として8社合併後の人事統合にかかわる。2015年、帰任しダイバーシティ推進課長として女性活躍推進を担当するとともに健康推進課長として健康増進施策を担当。2017年、ライフサポート推進部長に就任、現職。


森永 雄太氏( 武蔵大学 経済学部経営学科 准教授)
森永 雄太 プロフィール写真

(もりなが ゆうた)神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。2014年4月より現職。経営学の中でも経営管理論、組織行動論を専門としている。これまで産学連携を通じて大学生の社会人基礎力やリーダーシップを育成するプログラムを担当。また、企業や団体を対象とした講演や研修活動にも取り組んでいる。著書に『職場のポジティブメンタルヘルス―現場で活かせる最新理論』(誠信書房)、『日本のキャリア研究—専門技能とキャリア』(白桃書房)など。


山口氏によるプレゼンテーション:
「マチの健康ステーション」ローソン 健康経営の取り組み

「ローソンのロゴの上に“マチの健康ステーション”というスローガンが入っているのをご存じでしょうか。 以前は“マチのほっとステーション”だったのですが、2013年10月に『ローソンは健康という社会的課題を解決するコンビニエンスストアである』とトップが宣言して、スローガンも変更になりました。レシートにも必ず入っていますので、機会があればご覧ください」

「健康経営」に取り組む先進的な企業の事例紹介として、最初にプレゼンテーションを行ったのが、ローソンの山口氏。ローソンは全国に店舗展開するコンビニエンスストアチェーンであり、現在国内で約1万4000店を展開している。従業員数は連結で約9800名(単体では約4400名)、加盟店も含めるとおよそ約20万人が働く、非常に大きな組織である。これだけの規模の企業が何をきっかけに、またどのように「健康経営」に取り組んでいるのか。企業スローガンにも「健康」という言葉が入っている同社の話に、冒頭から参加者は引き込まれていった。

山口氏によると、ローソンの「健康」への取り組みは、まずコンビニエンスストアとしての企業戦略が先行していたという。競争が激化する小売業界において、他社との差異化を図るため、ローソンは「健康」をコンセプトにする戦略をとったのだ。

「弊社の企業理念は『私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします』というもの。健康を推進していくコンビニエンスストアとして、『マチを健康にし、お客さまを健康にする。そのためには働いている私たち自身も健康である必要がある』という考え方が、弊社のすべての取り組みの基礎にあります」

そこで同社が取り組んだのが、健康づくりに役立つ商品の開発だった。その代表がブラン(穀物の外皮)を使用したパンだ。「ブランパン2個入」の1個あたりの糖質を2.2グラムに抑えており、健康的な食事に関心のあるお客様向けの商品に仕上げた。ブランパンの開発・販売にあたっては社長自らが、「われわれは単にパンを売るのではない。この商品を通して健康という社会の課題を解決するのだ」と何度も社員にメッセージを発している。

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この他にもコンビニエンスストア業界では画期的な商品となったグリーンスムージー、全国23ケ所のローソンファーム(農場)でミネラルバランスを重視した中嶋農法により栽培した野菜を使ったサラダなど、健康を意識した商品を次々に送り出している。また、自治体と協同で店舗の駐車場を活用したがん検診等の「コンビニ検診」を行うなど、現在のローソンはまさに「マチの健康ステーション」と呼べる存在へと進化しているのだ。

こうした取り組みによって、地域の健康づくりを支えるローソンだが、全社的に「健康経営」に舵を切る以前にはさまざまな問題もあったという。同社が「従業員の健康」を強く意識するきっかけとなった大きな出来事について、山口氏が語ってくれた。

「弊社では2012年度から健康診断・再検査の全員受診に力を入れています。そのきっかけの一つが、当時重要なポジションにあった社員が体調不良で倒れたことでした。人事で過去の健診のデータを調べたのですが、見つかりません。忙しくて受診していなかったのです。社長はこのことを大きな問題であるとし、『健康診断を受けさせなかったことは、上司にも責任がある』と、改めて社内に強いメッセージを伝えました」

その結果、健康診断を受けるのは本人と上司の義務であることが社内で再確認され、健康診断・再検査を受けなかった場合、賞与カット(健康診断未受診の場合、本人15%、上司10%)を行うペナルティーまで制度化された。もちろん罰金を集めるのが目的ではなく、全員受診の意識づけを徹底するためだ。こうした取り組みにより、現在の受診率は100%。この出来事をきっかけに、健康アプリを活用した高リスク対象者のケア、日々の健康活動に対するインセンティブ(共通ポイント「Ponta」)の付与などの諸制度も作られた。

さらに、同社では従業員のデータから、健康課題の分析も行っている。そこで明らかになったのが「男性従業員の肥満率と喫煙率が全国平均よりも高い」という事実だった。プレゼンテーションの後半では、この新たな課題に同社がどう取り組んでいるのかが詳細に解説された。

「『健康90日チャレンジ』と題されたこの活動は、『ロカボ(糖質制限)』『部門健康増進』『禁煙』などに取り組むもので、活動に応じて補助金やインセンティブを用意。また、個人では続けにくいことから4人1組のチーム制で競い合い、楽しみながら取り組んでもらう工夫もしています。食事指導にはスマホ用の独自アプリを用いて、無理のないメニューを多数紹介しています」

「コンビニエンスストアで売っている食品でもロカボメニューが十分組める」という情報にはこの日の参加者も興味津々だったようだ。このチャレンジは、約65%の従業員が「役に立つ取り組みだった」と回答したそうである。

他にもさまざまな「健康経営」の事例を紹介してくれた山口氏だったが、その中で印象的だったのは次の言葉だ。

「弊社の施策はすべてトップがコミットし、トップダウンで行われています。基本的に健康経営はボトムアップでやるものではないと思います」。

トップが先頭に立ち、企業戦略と一体化した同社の「健康経営」のあり方は、参加者に大きなインパクトを与えたのではないだろうか。

篠原氏によるプレゼンテーション:
働きやすい、やりがいのある会社を目指して

システム開発・運用の代表的企業であるSCSKは、2011年に旧住商情報システムと旧CSKが経営統合して生まれた企業だ。その際に制定された「夢ある未来を、共に創る」という経営理念の冒頭には、「人を大切にする」という「約束」が掲げられている。プレゼンテーションを行った同社・篠原氏は、それがSCSKの「健康経営」の原点であると語る。

「システム開発はすべて人が行う業務。つまり弊社は人で回っている会社です。そのため、社員の成長と健康増進を経営のベースに据えているのです」

同社の「健康経営」は、働き方改革から始まっている。システム運用にも責任を負うIT業界は、24時間・365日の対応を求められる。そのため、夜間作業や週末の出勤も多い。納期が迫れば残業で対応せざるをえない、といった状況もあった。

「これらの問題を解決するには抜本的な取り組みが必要と考え、2012年から働き方改革に着手しました。そのポリシーは、一人ひとりのワークライフバランスを推進することで、働きやすく、やりがいのある会社をつくること。働く環境が整備されれば、従業員は生産性の高い創造性豊かな仕事ができ、顧客と社会に貢献できる。こうした好循環を実現していこうという考え方が、働き方改革の根幹にあります」

2012年4月からフレックスタイム制の全社適用を開始。同年7~9月の「残業半減運動」や、2013年4月の「スマートワーク・チャレンジ20」(平均残業時間を20時間以下に、有休取得を100%の20日に)のほか、直近のスーパーフレックスタイム制導入など、実施してきた取り組みは多岐にわたる。篠原氏が示した図には、その歴史が刻まれていた。

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「働き方改革」と並行して、同社は従業員の健康づくりにも積極的に取り組んでいる。

「2015年10月には就業規則を改定し、『健康経営』の章を新設しました。顧客に最高のサービスを提供するには真摯に健康を実現しなくてはならない、会社は社員の健康を重視しており、そのためには支援を惜しまない、ということを明文化しました。同時に社員もそのために努力してほしいと盛り込んでいます」

就業規則に明記したのは、「会社の本気度」を従業員に伝えるためだという。具体的な施策としては、「運動の促進」と「禁煙」を大きなテーマに掲げている。ウォーキングや禁煙に対しては、インセンティブや補助金を用意。また、健康増進には家族の協力も欠かせないため、経営トップから直接家族あてに手紙を出して、健康への取り組みを訴えたという。

「禁煙に関しては、就業規則に所定勤務時間内の喫煙禁止を追加し、同時に拠点内の喫煙所もすべて閉鎖しました。また、2016年からは勤務時間外であっても、懇親会など会社のイベントであれば、受動喫煙撲滅をめざすことを、就業規則に明記しました」

懇親会などでは、社外の飲食店を利用することも多い。その場合、全面禁煙または個室などで完全分煙になっている店しか利用しない、という。さらに、それを就業規則に盛り込む徹底ぶりである。こうした先進的な取り組みを可能にしているのは、やはりトップが健康経営を主導していることが大きいだろう。同社では2015年、トップ自らが「健康経営推進最高責任者」に就任し、全社をリードしているのだ。

ただし、こうした「健康経営」も、従業員が冷めていては意味がない。そこでみんなが楽しみながら参加できる仕組みとして同社が導入しているのが「健康わくわくマイレージ」という
インセンティブ制度だ。日々の健康習慣(ウォーキング、禁煙、休肝日など)と健康診断の数値(肥満、血圧、肝機能など)によってポイントが積み上げられ、ポイントは金額換算され毎年夏のボーナス時に加算支給される。この健康に関するインセンティブ原資は、2016年度で1.5億円にものぼる。この金額にも、同社の本気度が見て取れるだろう。

「同時に、役員に対しては『どきどきマイル』という仕組みもあり、自身の健康管理や組織的な取り組みを怠ると、数十万円単位でのペナルティーが科せられることになっています」

これも、トップダウンでなければ難しい仕組みかもしれない。しかし、その効果は絶大だ。「健康わくわくマイレージ」を導入後、同社のすべての健康習慣項目で数値が大幅に改善したのである。篠原氏によると、この取り組みの成功のポイントは大きく三つあるそうだ。

(1)組織で取り組んだ点
個人だけではなく、組織が一丸となって健康増進に取り組んだ。組織単位の取り組み状況を役員会で毎月報告した。
(2)健康リテラシーを向上させた点
全社員に健康に特化したeラーニングを受講してもらうことで、健康リテラシーの向上につながった。部課長クラスには集合研修も実施した。
(3)社員の心に訴えた点
役員会で報告した際のトップコメント等を社内ポータルで公開。これによって会社上層部が本気であることが社員にも伝わり、社員の取り組み姿勢も大きく変わった。

2008年に36%だった同社の喫煙率は、現在17.8%にまで下がっているそうだ。現在は、「2020年までに10%未満にする」という目標に取り組んでいる。長時間勤務が必然のように思われているIT業界で「働き方改革」と「健康経営」を成功させている驚きの事例に、多くの参加者が真剣に耳を傾けていた。

森永氏によるプレゼンテーション:
「HHHの会」活動報告 ~健康経営施策は業績に影響するか~

「健康経営に取り組みたいが、何から始めればいいかわからない」「従業員の健康がどのように生産性やパフォーマンス向上につながるのかがわからない」といった声に応えて、企業横断型の実験に取り組み、成果を蓄積した研究事例がある。それが、森永氏が関わった「HHH(スリーエイチ)の会」だ。第三のプレゼンテーションは、これから健康経営に取り組みもうとしている企業にとって、健康経営を具体的にイメージできる内容だったのではないだろうか。

「HHHの会」の「H」は、それぞれ「Health(健康)」「Human(人)」「Happiness(幸福)」を表している。

「参加条件は、従業員の健康増進に経営陣がコミットしてくれること。その上で、なるべく多くの従業員を巻き込み、浸透させる取り組みを行いました。また、こうした施策によって、健康が従業員の“やる気”や“働きがい”にも影響を与えるのかを調べることも、研究目的の一つでした」

健康な状態で働けるのが良いことであると、誰もが理解している。しかし、それが組織の生産性や会社の業績に貢献するのかどうかはよくわからない、というのが本音ではないだろうか。そこで、「HHHの会」では、100日間の健康増進活動を実施する前後で、健康への意識や運動の頻度に関する数値だけでなく、従業員のモチベーションや組織コミットメントがどのように変化するのかを調査した。

2016年、この実験に参加したのは13社・約710名。個人では継続が難しいためチーム制とし、競争原理で楽しめるゲーミフィケーションの要素も導入している。また、従業員同士の承認を高めるしかけ(SNSにおける「いいね」ボタンのような仕組み)もとり入れ、互いにサポートしあうことで、社内の人間関係の是正、円滑化などが図れるよう工夫した。

「結果は約60%の参加者が100日間を完走しました。実験としては十分成功だったと思います。そして、約80%が健康への意識が高まり、良い生活習慣が身についたと回答しています。また、モチベーションの変化や組織コミットメント、業績についても、あらゆる分野で数値が向上しています」

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プレゼンテーションでは、かなり細かい項目までどのように変化したのかが解説された。非常に興味深かったのは一部の組織では、「この結果が果たして健康増進活動だけによってもたらされたのか」まで検証していたことだ。「統制群」と呼ばれる、活動に参加しない従業員についても、同じようにデータを取ることで、健康数値やモチベーション、組織コミットメント、業績の変化が「HHHの会」の活動によってもたらされたものであると明らかになっている。

その一方で、課題も見つかったという。終わった後に「活動疲れ」が出てしまい、継続や健康習慣の定着という意味ではもっと工夫が必要なことや、運営を担った担当者が本来業務との兼任などで疲弊したことなどだ。また、成果のあがった企業とそうでもない企業とに、結果が分かれたことも報告された。

「健康への取り組みが自社の経営目標とどう関係しているのかが不明なまま取り組んでも、施策はうまくいきません。ローソンやSCSKではそこが明確だったため、効果があがったのでしょう。『ブームだからやってみよう』では、現場が腑に落ちず、取り組みが浸透しないため、効果も見込めません。とはいえ健康経営にチームで取り組むことで、モチベーションや組織コミットメントの向上、業績などにつながることがわかりました。また、参加した従業員の主体的な行動も増えました。こうした変化により、企業の業績向上にも寄与することは十分考えられます」

大規模な調査結果を分析した森永氏のまとめは、今後「健康経営」に取り組む企業にとっては示唆に富むものだったといえるだろう。

質疑応答

三つの事例報告のプレゼンテーションを受けて、参加者からの質問にパネリストが回答する質疑応答が行われた。簡単にそのやりとりを紹介しよう。

はじめに、森永氏が口火を切り、山口・篠原両氏に質問した。

森永:ローソン、SCSKで2015年頃から健康に取り組むようになったきっかけは何でしょうか。

山口:先ほどお話した部分にも重なりますが、従業員が倒れたことが、大きなきっかけになりました。従業員が健診を受けないことは大きな問題だ、というトップの認識が高まった。それにより、健診受診と重症化する前の段階(未病)での取り組みが意識されたんです。

篠原:SCSKでは経営統合に先立ち、2009年に商社出身の経営トップが着任しました。それまでIT業界に身を置いていなかったトップの目から見ると、社内の働き方は非常に労働集約的に感じられたようです。時間が長くきつい。そんな状態では今後、長くビジネスを継続することができないと。このことが、社員を大切に、健康で長く働いてもらおうという「働き方改革」や「健康経営」につながったのです。

参加者1:本来の業務の邪魔になる、といった現場の反発はありませんでしたか。あったとしたら、どのように対処しましたか。

山口:弊社では、トップダウンで経営層も参加しながら取り組みを進めたので、そうした反発はありませんでした。社員も、健康活動への参加は仕事の一部と捉えられていると思います。工夫した点としては、仕事があるのに「残業を削減してください」というと反発があるので、まずはスポーツなど部活動の促進に取り組みました。皇居マラソン大会などを企画すると、練習に間に合うように仕事を終えることが目標になります。やらされるのではなく、走りに行きたいから頑張って早く終わる、というように切り替えてもらうことが大切です。

篠原:弊社では、残業削減目標を設定した際、「無理だ」という反発がありました。しかし「まずやってみよう」と呼びかけ、実施してみたところ、意外にうまくいくことがわかったのです。一度成功すると、その後も自発的に取り組んでくれるようになりました。まずは、残業削減の良さを社員に実感してもらうことが大事なのだと思います。「健康マイレージ」の取り組みも、毎日専用サイトに入力しなければならないので、最初のうちは面倒がる人もいました。しかし、取り組むうちに社員自身が健康の良さを感じ、入力が習慣化されると、苦にならなくなったようです。

参加者2:業績へのインパクトはありましたか。

山口:弊社では、健康関連商品の売り上げが伸びており、今年度は約3,000億円を見込んでいます。従業員に対する取り組みは、その影響が測れない部分もありますが、メンタル、フィジカルともに健康な社員が活躍することで、利益に貢献しているはずです。

篠原:直接の影響とは言い切れませんが、弊社の場合は、毎年増収・増益を実現しています。働き方改革を開始した当初は、インセンティブなどの費用がかかることや、労働時間が減ることによる減収への懸念もありましたが、現状では好循環が生まれています。時短のために現場の業務改革が進んだことも、大きな成果です。健康経営に関しては、短期的な成果を求めるのではなく、もう少し長期的な検証を行っていきたいと思っています。

ディスカッションと全体共有

10分間の休憩を挟んで、各テーブルで「健康経営を成功させる要因とは」「トップや他部門をどのように巻き込むか」「健康経営の成果をどのように指標化するか」などをテーマに、ディスカッションが行われた。

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議論はおよそ20分間にわたった。その間、ファシリテーター、パネラーの森永氏、山口氏、篠原氏も各テーブルを回り、ディスカッションを深めるヒントの提供やアドバイスなどを行っていた。

討論の後は、各テーブルの代表者が簡単にどのような話し合いが行われたかを発表し、全体で共有した。傾向としては、やはり「健康経営の重要性を経営陣に理解してもらうにはどうすればいいか」「そのためにどのような指標化ができるのか」といったポイントに関心が集まっていたようだ。

健康経営について経営陣を納得させた後には、現場の反発や顧客の抵抗といった状況にも対処していく必要がある。各パネリストからは、先進的に見える企業も日々新たな課題とぶつかりながら健康経営を推進していること、参加者たちとも一緒に道を開いていきたい、といったまとめの挨拶があり、セッションは終了した。

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