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6ヵ月でマネジメントができる管理職へ。実践企業に学ぶ、管理職の自己革新メソッド

  • 髙橋 豊氏(トーマツ イノベーション株式会社 人材戦略コンサルティング第二事業部 副事業部長)
東京大会場 [B-5]2017.12.26 掲載
トーマツ イノベーション株式会社講演写真

プレイングマネジャーが増える中、「プレイヤーとしての業務をこなしながらマネジメントを学ぶのは難しい」という悩みを抱える人も増加している。どうすれば、この問題を解決できるのか。中堅・ベンチャー企業から大手企業まで、トータルな人材育成サービスを提供するトーマツ イノベーション株式会社の髙橋氏が、革新的な育成メソッドについて語った。また、実際にそのメソッドを実践した大手製造業コーポレートユニバーシティ・マネージャー花松氏が、成果を発表した。

プロフィール
髙橋 豊氏( トーマツ イノベーション株式会社 人材戦略コンサルティング第二事業部 副事業部長)
髙橋 豊 プロフィール写真

(たかはし ゆたか)組織風土変革、経営者及び管理職のコーチングなどを中心に組織開発、人材育成の幅広いテーマでコンサルティング・研修実績がある。IT業、製造業の大手企業を中心に500社以上の支援実績があり、現在は新たな人材育成サービスの開発にも積極的に取り組む。著書『場のマネジメント実践技術(共著/東洋経済新報社)』など


管理職になる「自覚」を促すことの重要性

トーマツ イノベーション株式会社は、ビジネススキル、マネジメントスキルを中心に人材育成サービスを行う監査法人トーマツの子会社である。業界初となる公開型定額制ビジネス研修とオリジナルビジネス研修を軸にコンサルティング等も手がける。そんな中、500社以上のコンサルティング実績を持つ髙橋氏は、人材育成が失敗する原因としてまず、「4:2:4」という比率をあげた。

「これは『研修の前・研修中・研修の後』のどこに成功要因があるか調査をして、その比重を表したものです。研修の前後に大きな原因が潜んでおり、4:2:4の前と後の4をどうすればいいかに着目することが大切です」

人材育成とは人を育て上げることであるが、育成は、必要性・関連性を明示する『環境整備』、知識を教える『教育』、内側にある能力を引き出す『開発』、引き出したものを自分のものにしていく『支援』、指摘して導く『指導』に分解されると、髙橋氏は解説する。

「前半の4にあたる研修前には、なぜ研修が必要かを理解させ、自分は何を身に付けてどのように変わろうとしているのか意図を持たせるための『環境整備』が重要です。自分の潜在能力を外に出すための練習である研修当日は、『教育』『開発』が重要であり、後半の4にあたる研修後は、練習を実践して定着させ自分の行動を変えていくという『支援』『指導』が大切になります」

人材育成を加速させるために必要な要素の一つが、人材開発の仕組みである。ここで大切なのは、「自覚」をさせることだと髙橋氏は強調する。

「管理職育成の場合、入社して10年15年が経ち、その仕事の専門家になり成功を収めて管理職に登用されるのが主流でしょう。しかし、プレイヤーの延長線上では管理職は務まりません。大きく変わらなければならないのです。管理職1年生としてマネジメントを学んでいく、リーダーシップを実践していく、そういった自覚を持って次の成長曲線に入っていかなくてはならない。ですから、プレイヤーとしてのパフォーマンスが頂点に近づきつつある時点で、管理職に移行していく自覚を持たせることが大変重要です」

講演写真

行動を変え、定着させていく方法

「プレイヤー思考からマネジャー思考へ」と上手に自覚をスイッチさせるためには、自ら変わる必要性と意図を持たせて、行動を変えていく必要がある。そのためには「マネジメントとは何か」「リーダーシップとは何か」「どんな行動をすればいいのか」と、知識・行動の型をインプットさせて、「自分はどう変わっていかなければいけないのか」を考えて実践していくことが望ましいと髙橋氏は語る。

「ここでポイントになるのが、育成対象である管理職の方に自分の現状を客観的に認識してもらうことです。自分がやらなければいけないこと、やってきたこと、今やっていることが実際どうなのかを、自分の思考や行動を一段上から観察(メタ認知)する機会を作ります。自分で自分をモニタリングし、自分でコントロールしていくのです。さらにそれを、周りの人たちとの対話を通じて、他者から学びながら自分を振り返り、思考や行動を深めていきます」

このようにして、さまざまな知識・行動の型のインプット、メタ認知を繰り返すうちに、「求められていることができていない」ことに気づくようになり、やがて「意識してできる」レベル、「意識しなくてもできる」レベルへと行動を成熟させていく。最終的には、「意識しなくてもできることをもう一度意識レベルに落とし込む」レベルへと達し、「自分は何を考えて何をしているのか」を他者に説明できるまでに至る。

「行動変容は半年以上行わないと定着しないと言われていますので、半年かけて行動や思考が定着していくまでフォローを続ける必要があります。その際には、行動の型をどのように伝えていくかということも大切です。管理職が自らを変革させ、求められる成果を出すために必要な行動の型(コンピテンシー)は何か。それは、「性格スキル」「学習する」「思考する」「意志決定する」「やり抜く」「自分の時間を管理する」「部下や周りの人と対話する」「内省しメタ認知する」という八つの型です。これらを日常業務の習慣にするための構成要素も意識しながら、私たちはメソッドを構築しました」

それが「イノベート・ザ・セルフ・メソッド」である。学習者が学びの意図を持ち、主体的に学び、実践して習慣にするサイクルを持った、「自己革新」に焦点を当てた手法と言える。自分で意図を持ち、知識をインプットし、自分のものとして「次にどういうふうに新しい経験をデザインしていくか」を自ら考え、実践して振り返る。これら三つのスペックを繰り返し習慣化していくという、自発的な変容を促す仕組みになっている。

講演写真

1日10分という取り組みやすさから習慣へ

次に髙橋氏は、同社の調査結果を元に、プレイングマネジャーを取り巻く現状をふまえた課題を挙げた。

「プレイヤーとしての業務を引き続き行う管理職が増えていますが、『部門の目標達成が継続できない』『会社からの期待が明確に把握できていない』と感じているプレイングマネジャーが多いというデータがあります。また、『自己研鑽の時間が取れない』『部下とのコミュニケーションや育成に時間が割けない』という結果も出ています。また、『マネジメントを考える時間がほとんどない』『マネジメントやリーダーシップについて学ぶ時間・余裕がない』『いろんなことを試したいが失敗できないので試行錯誤できない』という声も各所で耳にします」

「イノベート・ザ・セルフ・メソッド」は、このような状況に向き合い、時間がなくても学べる、考える時間を強制的に与える、試行錯誤できる機会を作ることを重視した手法だ。その仕組みや内容について、このメソッドを用いて管理職研修を実施した、大手製造業コーポレートユニバーシティ・マネージャー花松氏が、髙橋氏の質問に答える形で語った。

髙橋:私どもと一緒に作った管理職研修についてお聞かせください。

花松:テーマは、マネジャーのコーチング&フィードバックの力をつけることでした。当社が2009年に大きな赤字を出した時、グローバルで勝負できるマネジャーを育成しようと考え、まずは人材データベースを作って、グローバルなグレーディング、グローバルパフォーマンスマネジメントを加えました。パズルのピースは揃いましたが、マネジャーが行動を変えないことには成果につながりません。そこで、トーマツ イノベーション株式会社さんと一緒に取り組みを始めました。

個人のモバイルツールに、コーチング&フィードバック実践のための具体的なメソッドを組み込み、マネジャーとして変えるべき行動や思考が、毎朝、短いコンテンツで配信されるプログラムを開発。1日5分、10分程度ですから、仕事の合間やランチタイムや移動時間に学べます。部下にどんな言葉をかけ、部下からどういう言葉が返ってきたか、という行動履歴が残るので振り返りもできます。

髙橋:朝のコンテンツで学んだ後「今日一日何をするか」を五つほどの選択肢から選び、夕方に配信される振り返りコンテンツでそれができたかどうかをチェックすることで、メタ認知を促すという流れですね。必要性を自覚し、勉強し、自分でどう行動するかを決めて実践し、内省する、ということを繰り返します。効果はいかがでしたか。

花松:あるマネジャーは、1週目にある行動を試そうと思ったら部下が無反応で、内省してアクションプランを練り直しました。それからうまくいきかけたものの、部下とのコミュニケーションに問題が出て、4、5週目に再度アクションを変えて取り組み、7週目には新しいプロジェクトを部下と一緒にスタートすることになった、というドラマチックな例もありました。マネジメントを行う上で、語彙(ごい)が増えたという話も聞きました。いろんな言葉を使って部下とコミュニケーションできるようになったそうです。毎日少しずつ勉強し、実践して、「あの手この手」で振り返るので、次の手を考えていくことができるようになったそうです。

講演写真

髙橋:研修を作るにあたってご苦労されたこと、大変だったことはありますか。

花松:一つは、社内コンセンサスをどう得るか、ということです。従業員とコミュニケーションを取って、この研修の価値や趣旨を分かってもらえるように努めました。もう一つは、テーマとしている「コーチング&フィードバックを学ぶ」のではなく、「中期経営計画を達成するため、それに必要なスキルを磨く」ことを喚起するためのストーリー作りです。また、コーポレート部門の関係者、中期経営計画に携わる人や部門としっかりつながって、経営課題とのコンテンツのアラインメントを取ることも意識しました。トーマツ イノベーション株式会社さんが経営担当者とも議論してくださり、経営課題と食い違いがないか何度も確認してくださったのは大きな助けとなりました。


この事例では、最初は短期間の1ヵ月半と3ヵ月バージョンという6ヵ月以下のコンテンツに取り組むが、その期間後も自主的にずっと続けていくことができる仕組みとなっている。このように自主的・自発的に、本人が自覚し、自分で決め、実践し、振り返り、改善していくという習慣化が、これからの時代の管理職には重要となるだろう、と髙橋氏は締めくくった。

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