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ヒトを腐らせない企業を作るために組織のなにを「可視化」しなければならないのか?

  • サカタ カツミ氏(CODE.SCORE クリエイティブディレクター)
  • 斎藤 由希子氏(ヤフー株式会社コーポレート統括本部人財開発本部 本部長)
2016.06.21 掲載
株式会社リクルートキャリア「CODE.SCORE」講演写真

エンジニアを抱える企業の多くが、人材を最大限に活かすことの難しさに直面している。その理由は、採用、育成、配置といったさまざまな場面において、企業が適切な人材を活用できていないことにある。リクルートキャリアが提供するCODE.SCOREは、自社に必要なエンジニアを把握する可視化・分析サービス。その開発の共同実験に参加したヤフーの人財開発本部本部長の斎藤氏と、CODE.SCOREのクリエイティブディレクターのサカタ氏が、組織における人材の可視化の必要性についてディスカッションを行った。

プロフィール
サカタ カツミ氏( CODE.SCORE クリエイティブディレクター)
サカタ カツミ プロフィール写真

(さかた かつみ)就職や転職、キャリア開発などのサービスのプロデュースやディレクションを数多く手がける。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。連載『なぜ、エンジニアの採用は難しいのか?』をはじめ、寄稿記事や登壇も多数。


斎藤 由希子氏(ヤフー株式会社 コーポレート統括本部人財開発本部 本部長)
斎藤 由希子 プロフィール写真

(サイトウ ユキコ)インターネット黎明期から約17年間、IT業界の人事業務に従事。
1999年にヤフー(株)に入社し 100人から5500人規模の企業に急成長する中で採用、 人財育成、組織開発、人事制度企画と幅広く担当。


即戦力に偏った見方をしがちなエンジニア面談

リクルートキャリアは、企業にとって必要なIT人材を把握するための可視化・分析サービスであるCODE.SCOREを提供している。組織と個人の実務スキルを診断し、その評価を個人の育成や組織改革などに活かす、というものだ。二人のディスカッションは、サカタ氏の言葉から始まった。

サカタ:今日は二つの話をしたいと思います。一つ目は最適な採用や配置を実現するために、ヤフーでどんな取り組みをされてきたのか。二つ目はヤフーとCODE.SCOREを使って共同実験を行い、採用のプロセスを洗い直し、可視化する作業を行うことでわかったことを話します。それではまず、ヤフーの人事コンセプトを教えていただけますか。

斎藤:ヤフーは人財開発企業を目指しており、人事の基本コンセプトは「一人ひとりの才能と情熱を解き放つ」です。4年前に経営が一新し、この新たなコンセプトのもとで採用、育成、配属を行っています。

サカタ:採用では、どんなところを見直されましたか。

斎藤:以前は一次面接を人事が担当し、二次面接は現場技術者が担当して技術スキルを中心に見ていました。二次面接の際の評価コメントを分析したところ、即戦力に偏った見方をしていたことがわかりました。そこで二次は技術面だけを集中して見るステップに変え、一次と二次の結果を総合的に判断するようにしました。

講演写真

また、現在の採用はデジタルとアナログの融合が特徴です。人事にはさまざまなデータが集まりますので、そのビッグデータを活用し、採用相関の高い重視すべき項目を書類選考ではデジタルに判断し、面接に入ってからは会うべき人とじっくり向き合う。基本的に面接は3回ですが、もっと話を聞きたいときには、回数は無制限で会っています。そして、応募者本人が納得するまで、内定は出さないようにしています。

サカタ:相手が納得するまで内定を出さないのは面白いですね。

斎藤:選考ポイントが明確化され、きちんと会社と本人が納得し合ったうえで入社してもらえるようになりました。面接前にも座談会という形で、質問や不安、自分のキャリアについて小人数で聞く仕掛けも行っていますが、この手法には手応えを感じています。

フィードバックしながら、モチベーションが上がらないジレンマ

サカタ:次に社内の組織づくり、育成について教えてください。

斎藤:ヤフーでは三つのフィードバックの機会を設けています。一つ目の「1on1 ミーティング」は、原則週に1回、必ず上司が部下と30分程度の面談を行うというものです。ここではコーチングの手法を取り入れ、社内に90名ほどライン長以外のコーチがいます。二つ目の「ななめ会議」は、上司が部下たちからフィードバックを受ける仕組みです。ファシリテーターがついて、部下たちが上司に関して「知っていること」「続けてほしいこと」「止めてほしいこと」「今すぐ始めてほしいこと」の四つを議論します。議論した結果はファシリテーターから上司に伝え、上司はそれに対して宣言を行います。

三つめの「人材開発会議」は、年1回、人材開発カルテに基づいて従業員全員分の会議を行うというものです。カルテとは全従業員が年2回書くもので、強み、課題、3年後にどうありたいか、それに向けた1年間のデザイン、また、自分がなりたい自分について申告します。それをもとに、上司と隣の部署の管理職が共同で、強みを活かすためにはどういう経験を積めばよいかについて、話し合います。

サカタ:それらの制度に加えて、可視化も行われているのでしょうか。

斎藤:社内でいくつかサーベイを実施しています。人事評価や、数年に一度のリーダーシップ調査(リーダーシップスタイルのコンピテンシー調査)、人材開発カルテ、ES調査も年2回行っています。そのほかにも、どれくらい満足度の高い「1on1 ミーティング」が行われているのかを確認しています。

講演写真

サカタ:大変な手間がかかっていますが、これらのサーベイは異動に活かされるのでしょうか。

斎藤:異動こそ最大の人財開発と考えているからこそ、社長、副社長、執行役員による「全社人財会議」を開いています。ここでは、どういう経験を積ませるかを含め議論します。人財開発については、ライン長以外の社内コーチ90名のほか、各部署に人財育成が好きな人がいるので、そういう人たちに専門知識を付けてもらったうえで協力してもらっています。

サカタ:育成好きな人に協力してもらうのは面白いですね。人が動いて最適な配置となることで、個々の才能と情熱が解き放たれるわけですね。

斎藤:いかに個人の成長と会社の成長をリンクさせるかを考えてきました。どんどん戦略的異動を行い、その経験でストレッチを生む。しかし、これまでの4年間、業績は順調に上がってきたのですが、実はこの1年ほど、エンジニアのモチベーションが上がりにくいという事態が起きていました。その頃にちょうどCODE.SCOREを知り、共同実験に協力することになりました。

「選考がうまくいくと、粒が揃ってしまう」というリスク

サカタ:ヤフーさんで何が手詰まりの原因となっているのか、私たちはカテゴリー採用のプロセスの振り返りを行いました。また、採用基準そのものを解析しなおしました。そして内定者にCODE.SCOREを受検してもらい、現状の手法で最適な配置がされているのかを調べました。

まずは、人事担当者が、自分の担当する部署に配属された従業員を評価した結果を見てみます。五角形のチャート図に、主体性、論理性、協同性、コミュニケーション、向上心を5段階で評価しています。しかし、0~5の尺度で測ると、違う部署に所属していてもほとんどの人が同じ形に揃ってしまっています。実は採用の仕組みがうまくいっている企業ほど、粒が揃ってしまうんですね。この尺度を2.5~5に拡大すると、初めて違いが出ます。

講演写真

斎藤:企業に優秀な人を採ろうという気持ちが強いほど、粒が揃う気がしますね。

サカタ:部署ごとの適用試験による職務適用評価も、同様の結果でした。これらは何を示しているかというと、五角形のチャート図で何かを見ようとしても、すべてに対して優秀であると評価されて、人事では適切に配属できなくなるという事態が起こるんですね。このことに気付いている採用担当の方は、まだ少ないと思います。

斎藤:一般的に、暗黙知で「うちの会社に合う、合わない」と判断しがちな面も影響していると思いますね。

サカタ:選考がうまくいくと、粒が揃ってしまう。それだけ多様性が失われる危険性があるわけです。人事による評価を見ても、エンジニア面接でのスキル評価を見ても、実は人をほぼ分けられない状態になっています。これではバリエーションを付けた配属をしようとしてもできません。

斎藤:エンジニアの職種は深くて幅があるので、一人のエンジニアが面接をするだけでは技術領域について深く見きれない可能性があると思います。

サカタ:単一で同じ事業をやっていれば、採用する人のパターンは同じでも構いませんが、社内に多様性を出そうとか、イノベーションを起こそうとしているときに、人物の見分けがつかなくては特色が出ません。配属部署ごとのCODE.SCOREによるスキル評価を見ると、バラつきが出ていました。これは人材開発のポリシーにもよるので、何が正しいとは言えませんが、人にラベル付けるときには何らかの付け替える軸を持たない限り、似た人を似た形で配属して、中には間違ったところに配属する危険性もあるのではないかと思いますね。

ただ、この話をすると「技術がわかる人がスキルを見極めればいいじゃないか」と必ず言われます。でも、スキルチェックを担当する人と応募者の得意分野が重ならないと、その人のスキルは低く見られますね。

斎藤:それとは反対に、面接者と応募者が得意なものが同じ言語だと話も盛り上がって、人物評価もかなり上がり、引っ張られる可能性もありますね。

個人の認知のズレを可視化し、人を「面」で活かす

サカタ:人が腐ってしまう会社では、「それは採用が悪い」「それは現場が悪い」「上司が悪い」と、誰かに責任を押し付ける構図が生まれます。人事は大量のデータを持っていますが、実は個人を把握する指標やサーベイばかりで、組織をサーベイする仕組みは持っていません。各々の基準もまちまちで、どの基準が正しいかもわからない。さらにサーベイの性能評価もされていないので、自社に合うサーベイが何かもわからない。そのため多くの人が、今の状態を「みんな人事のせいだ」と思っているのではないでしょうか。

企業は個人がどういう能力を持っているかはだいたいわかっていますが、個人にどういう指向性があるのか、そのズレがわかっていません。これをCODE.SCOREでは「WillとCanのズレ」と呼んでいますが、そこに認知のゆがみがあります。そして、いくつか分析する中でわかったのは、これまでうまく採用できている会社でも、そこでは個人一部だけを見ているので、その部分の優劣しかわかっていない。もっと組織として、人を「多面的」に見る志向を持ったほうがいいですね。

斎藤:これまで納得いく実務可視化ツールがなかったので、企業は無理やりにでも、自社に合う基準づくりをするしかなかった。しかし、IT業界のように必要なスキルがどんどん変わると、基準をつくるだけで一杯いっぱいになります。今回の共同研究で、それではいけないということがよくわかりました。従業員一人ひとりの才能と情熱を解き放つためにも、今回の実験で学んだことを採用活動や人財育成に活かたいと思います。

サカタ:組織に今何が起きているかをわかっている企業は少ないと思います。CODE.SCOREを活用いただき、ぜひ新たな視点を持って、企業の実態を確認してほしいと思います。今日はどうもありがとうございました。

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掲載企業数No.1※の新卒向け就職情報サイト「リクナビ」など、個人のキャリアと企業の人材戦略に向けた、さまざまな支援サービスを提供しています。私たちは、すべての価値の源泉である「人」を何より大切にして、「人」の可能性に満ちた次世代社会を築いていきます。 ※2016年3月1日時点 主要就職サイト 比較

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