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【進化する新人育成スタイル】
最新メソッドで20代社員の企業内教育を新生する

  • 高橋 豊氏(トーマツ イノベーション株式会社 人材戦略コンサルティング第二本部 シニアマネジャー)
2016.06.21 掲載
トーマツ イノベーション株式会社講演写真

「ゆとり世代」とも呼ばれる新人世代への教育が、うまくいっていないという声が少なくない。どんな原因があり、どこにポイントを置いて、どう変えていけばいいのか。のべ9200社にのぼる企業の人材育成を支援してきた実績を持つ、トーマツ イノベーション株式会社の人材戦略コンサルティング第二本部シニアマネジャー・高橋豊氏が、これからの世代に適合した新しいメソッドによる新人教育のポイントとOJTのあり方について語った。

プロフィール
高橋 豊氏( トーマツ イノベーション株式会社 人材戦略コンサルティング第二本部 シニアマネジャー)
高橋 豊 プロフィール写真

(たかはし ゆたか)人材育成、組織開発分野全般に渡ってIT産業、製造業の大企業から中堅企業を中心にコンサルティング業務に従事。500社以上の企業に対するコンサルティング・研修実績がある。コンサルティングテーマは、組織診断、組織開発など多数。『場のマネジメント実践技術(東洋経済新報社)』など執筆も行っている。


「ゆとり世代」の傾向と育成の課題

デトロイ トトーマツ グループの一員であるトーマツ イノベーション株式会社は、主に人材育成サービスを提供している。公開型 定額制ビジネス研修、定額制 オンライン動画研修、企業内研修のほか、ビジネス基礎力診断テスト、経営支援も行う。長年の経験の中でも昨今は、新入社員育成の問題の多さを高橋氏は実感しているという。

「なぜ思った通りに育てられないのかというと、教える側の時代背景と新入社員のそれが違うからだと思います。今の新入社員世代は、低成長、企業倒産や吸収合併といった日本経済の暗いニュースに触れて育ってきました。終身雇用崩壊、年功序列から能力主義へと変わり、給料も伸びない時代です。さらに、今の20代の方はほとんどがゆとり教育を受けていますし、生まれた時からパソコンや携帯が当たり前のデジタルネイティブであることも大きなポイントです」

このような時代背景に育った世代の特徴は何か。トーマツ イノベーションが調査した約4000名のアンケート結果を高橋氏は紹介した。「この世代には『定時内でやさしく育ててほしい』というタイプが結構多いんです。傾向として『楽しく仕事をしたいが、定時には帰りたい』『優しく相談できる上司がいい』と考える人が年々増えています。言い換えるなら、怒られて育つ、グイグイ引っ張ってもらいたい、がむしゃらに働く、という世代ではないことが分かります。アンケート結果と時代背景からも、新人世代の課題として『教わる経験の不足による、社会人としての基礎知識や常識の低下』『失敗を恐れて回避する行動傾向』が浮かび上がります」

この課題に対しては、「まず経験させて振り返りをさせて学ばせる」という従来の教育スタンスでは新人が育たないことは明らかだ。では、どういうスタンスで育てればよいのか。「『経験させる前に、まず教える』ことが大事です。この世代は、経験する前にいろんな情報を得ておきたいと考える傾向があります。それを経た上で『経験させて、振り返りをさせて、学ばせる』スタンスで育てると良いのです。これは、この世代の学習スタイルそのものでもあります。デジタルネイティブは何でも、まずインターネットで調べます。スマホをすぐに持ち出すのです。失敗したくない・怒られたくないと思っているので、そうならないように先手を打って知っておくわけです」

講演写真

調査結果を元に、高橋氏は育成する側の課題について指摘した。「新人を育てる仕組みの一つであるOJTがうまくいっていない、という調査結果も出ています。『OJTが機能し、きちんと教えられている』と回答した企業は12.6%、8社に1社にしか過ぎません。原因として『時間がない』『教える側の力量・意識の不足』『計画的・体系的育成未整備』等が挙げられています。この結果は、就職してから3年以内に退職した新人を対象とした質問『適切な教育がなされたか? 人間関係は円滑だったか?』に対して、NOが75%という数字だったことに如実に表れています。採用がより困難になる時代、適切なOJTを行わなければ人材流出につながってしまうことは、見逃せない課題だと言えます。以上から、新人教育だけではなく、OJTの体系化整備、OJT担当者の教育の見直しも不可欠だと考えます」

「任せ方2.0」という新しい考え方

新人育成にあたり、あらためて「人は何によって育つのか」「成長し成果を出す人材を育てるために大切なことは何か」を考えてみると、「経験(仕事経験)」と「習慣(成長習慣)」に尽きると高橋氏は挙げる。

「経験といってもどのように経験させていくかが大事です。きちんと正しい自己認識をして→適切な課題設定をして→少し背伸びした目標を立てて→必要な改善策をとって→仕事の実務を経験して→それを内省・振り返る。そして再び、きちんと正しい自己認識をして→……というサイクルがあります。これが経験となり、サイクルが回り続けると習慣になります。こういった習慣に新人を導かなければなりません。ある研究結果によると、人の成長は、仕事の直接経験から70%がもたらされ、先輩・上司の助言からは20%、研修や書籍からは10%なのだそうです。最初の二つを足すと90%。仕事経験の重要さが分かります」

すると、成長における大きな鍵は、どのような仕事をどのように経験させるか、だと言える。仕事を経験させるマネジメントへと話は進んだ。「東京大学の中原淳准教授と一緒に、中小企業の若手育成にどんなことが必要か調査をしました。その結果、経験が大事というだけでなく、それをきちんとストックできていることが、能力向上に大きく関係することが分かりました。若手社員が成長している会社では、まず『背伸びの仕事経験』を意図的に積ませます。そして、途中でも終了後でも振り返って内省できるようにマネジャーや周囲が問い掛けて、その仕事で何を学んだのかに気づかせて、それをきちんとストックさせていました。さらに、上長の上手な仕事の任せ方『任せ方2.0』が、部下の上手な経験ストックに関係していることも分かったのです」

講演写真

「任せ方2.0」には四段階の法則があると高橋氏は語る。(1)その仕事の「意義」をきちんと任せる相手に話をする。(2)少し背伸びをした仕事を任せているので「つまずきそうになる難しいポイントや壁」を任せる相手にあらかじめ伝えて示唆しておく。ただし、答えを言う必要はない。(3)これをあなたに任せるにはこういうことを期待しているからだという「期待」を伝える。(4)本人に「決断」させる。例えば「頑張ります」「やります」ということを自分で決めさせるのだ。

「こうして、上長が上手に経験をさせていけば習慣につながっていきます。ただし、習慣は良くも悪くも習慣化してしまうことを知っておくべきです。例えば、上司が怒り出すことが分かっているから、問題に気づいても、自分の身を守るために言わなくなるという悪い習慣。または、教えてもらえるからといって、何でもすぐに聞いてしまうのは悪い習慣です。『基礎』の習慣(コンピュータに例えればOSに相当)をきちんと身に付けておかなければ、『知識や技術』(アプリに相当)をいくら上に載せても全く生きてきません。常に良い経験を積ませてストックさせ、良い習慣を習慣化させなければならないのです」

習慣化には順序があるという。習慣化成熟度レベルについて高橋氏は説明した。「『意識していないしできない』『意識しているのにできない』『意識してできる』『意識しなくてもできる』『意識しなくてもできることを意識レベルに落とし込む』の5段階です。『意識してできる』レベルを6ヵ月ぐらい続けていると『意識しなくてもできる』レベルになります。注意すべきは、『意識しなくてもできる』レベルに到達した時、周囲の状況が変わっても同じ行動をとってしまう事態です。例えば、部下や経済環境が変わったら以前と同じことを無意識に行っていてはうまくいくはずありません。従って『意識しなくてもできる』レベルにいても、もう一度意識レベルに戻して考えていくことが大切になります。このためには、人に教えることが一番いいと言われています。人に説明を試みる際、無意識にやっていたことを意識して考えることになるからです。ですから、OJT担当者は積極的に意識し直すことをお勧めします」

モバイルを活用しアウトプットを重視

新人育成にあたっては五つのステップ、「入社前(内定者育成)」「入社時(新人研修)」「配属後(OJT指導)」「次年度(OJT継承)」「しくみの改善・定着」に沿って進めることが効果的だと高橋氏は語る。

「内定期間中に学ぶべきことをインプットして、入社研修の時にそのスキルをアウトプットできる流れを作ると効果的だと思います。最初の二つのステップで好ましい学習の習慣化と基礎知識の習得についてお話しますと、デジタルネイティブに適した教育手法が四つあります。一つが『モバイルラーニング』。若い方は常に持っていますので、これを使わない手はありません。モバイル端末を使えば、教育に対する時間と場所の制約も解消できます。二つ目は『ソーシャルラーニング』。他の人との関係を重視して、SNSで常に情報交換や意見交換している世代ですので、お互いの状況を知って切磋琢磨していく関係が構築できます。三つ目は『アダプティブラーニング』。一人ひとりの課題ペースに合わせた教育が提供できます。四つ目は『フリップドラーニング(反転学習)』。反転学習とは、どこでも学べる知識はオンラインで習得し、リアルの場ではアウトプット主体の教育を行い、高付加価値な学びを与えるスタイルのことです」

このスタイルに適したツールとして、トーマツ イノベーションでは『モバイルナレッジfor Freshers』というプログラムを提供している。自発的継続的な学びを促す機能を搭載し、知識・マインド・スキルを網羅したコンテンツが揃っている。2014年1月に誕生したサービスの利用者は、既に500社以上。実際に高橋氏が担当している企業からも「土台ができた状態で配属されるために現場の教育負担が減った」という声が届き、他社からも高い評価が聞かれている。

「後半の『配属後(OJT指導)』『次年度(OJT継承)』『しくみの改善・定着』のステップに対しても、OJT担当者の選定から育成計画、組織的なしくみ化のサポートなど、新しい世代にマッチしたサポート内容を取り揃えています。ぜひ若い方たちを早期に戦力化し、組織も個人もますます成長することを祈っています」

講演写真
本講演企業

トーマツ イノベーションは中堅中小ベンチャー企業を中心に人材育成・人材戦略に特化したコンサルティング会社です。社員の成長は企業の成長。企業の成長を彩り、かたち創るため 「人材育成」にイノベーションを起こし続けます。 現在のクライアント数は9,200社以上。業界トップクラスの支援実績を誇っています。

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