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なぜ辞めるのか?なぜ育たないのか?その鍵は「スキルの可視化」に隠されていた!

  • サカタ カツミ氏(CODE.SCORE クリエイティブディレクター)
  • 豊田 義博氏(リクルートワークス研究所 主幹研究員)
2015.12.24 掲載
株式会社リクルートキャリア講演写真

エンジニアを採用しても、その育成は難しく、ようやく育っても辞めていくなど、人事は常に人手の問題に追われている。企業はなぜ人が育てられなくなったのか。スキル可視化によるサービスのプロダクトデザインを手がけるサカタカツミ氏は、その理由を「個人も組織も『やりたいこと』や『できること』が把握できていないから」と語る。『若手社員が育たない。』著者である豊田義博氏と共に、人材採用と育成の実態について議論した。

プロフィール
サカタ カツミ氏( CODE.SCORE クリエイティブディレクター)
サカタ カツミ プロフィール写真

(さかた かつみ)就職や転職、キャリア開発などのサービスのプロデュースやディレクションを数多く手がける。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。連載『なぜ、エンジニアの採用は難しいのか?』をはじめ、寄稿記事や登壇も多数。


豊田 義博氏( リクルートワークス研究所 主幹研究員)
豊田 義博 プロフィール写真

(とよだ よしひろ)就職ジャーナル、リクルートブック、Worksの編集長を経て、現在は研究員として、20代の就業実態・キャリア観・仕事観、新卒採用・就活、大学時代の経験・学習などの調査研究に携わる。著書に『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(以上ちくま新書)、『「上司」不要論。』(東洋経済新報社)、『新卒無業。』(共著 東洋経済新報社)などがある。


新人のやりがいを奪った「仕事の細分化」

リクルートキャリアは、エンジニアの実務力を可視化できるサービス「CODE.SCORE」を新たに開発した。これはITエンジニアに対してさまざまな試験を行い、受検結果と人事評価、年次、職位、年収などの人事データと組み合わせることによって、今まで多くの人が見過ごしていた組織の課題を発見。最適な人材育成や人材配置を実現しようとするものだ。サカタカツミ氏はそのCODE.SCOREのプロダクト全体のディレクションを行っている。まず、「どうして企業が従業員を育てることができなくなったのか」というテーマで、二人のディスカッションが行われた。

サカタ:豊田さんは過去のインタビューで、会社が新人を一人前にできない原因を、仕事のサイズが小さくなったせいだと答えていますね。

豊田:はい。仕事が業務の高度化や専門化への対応、コスト削減や効率重視によって細分化され、その小さい中で働き始めた若手は、自分がいま何の仕事をしているのか、全体観がわからなくなっているのでしょう。

サカタ:そのような中で、一人前になるとはどういうことか。人事の方に聞くと、調整能力、優先順位、判断力など、非常にあいまいな言葉しか返ってこないと、豊田さんは著書でも触れられています。豊田さんは「一人前」をどういうことだと考えていますか。

豊田:二つあると思います。一つは、ある年数をかけて幹部社員への素地ができること。もう一つは、新人が配属された先で仕事ができるようになること。しかし今は、一段階目である目の前の仕事がちゃんとできるようになることさえ、おぼつかない。その原因はやはり、仕事が細分化しているからです。以前は一人でいくつかのことをやりながら完結できていたのが、残念ながら現在はそういう構造ではなくなっています。以前インタビューした若手が、「会社に入ったら仕事はいろんな形で教えてもらえるものだと思っていた」と言っていたんですね。しかし、実際には概略だけ伝えられて「あとはよろしく」などと、捨て置かれている。これは決して、任しているのではありません。マネジャーは忙しいので、「ここはとりあえず任せた」ということになっていると思います。

若手が育たないのは「企業が演繹的作業をサボったツケ」

サカタ:豊田さんは著書の中で、かつての日本企業は、仕事とは何か、何をすればいいのかなどが明示化されるということはなく、ざっくりと任される仕事があって、周囲の真似をしながら、試行錯誤を繰り返し、自分で帰納的な構造を作り上げて覚える「帰納主義的熟達」だったと、書かれています。けれども、最近の若手は、自分自身が成長し、能力向上を果たす道筋を提示してほしいと思っている。そして指針となる枠組みや知識体系、それに基づくキャリアステップが明示され、個人は学習し、能力を身につけ、成果を上げていくあり方である「演繹主義的技能習得」を求めている、とも書かれています。

豊田:最近、若手はキャリアを考えるうえで、スペシャリスト的、プロフェッショナル的な形をよいと思う雰囲気があります。しかし、企業はあまりに帰納主義的になりすぎてしまって、構造を明示化するといった演繹的なことをずっとサボってきました。若手が育たないのは、そのツケが回ってきたせいと言えます。

サカタ:企業は社員のゴールを言語化せずに、ずっと曖昧なままできました。そのツケが回って来ていると考えていいですか。

豊田:その通りです。昔の日本企業には演繹的な構造があったと思うんですね。

サカタ:ここで一つデータをお見せします。電機メーカーのエンジニアに自分の仕事をどう認識しているかを聞いたものです。これを見ると、自分の仕事は難易度が高く、一連の仕事を最初から最後まで任されていながらも、その成果への反響や手応えはあまり明確に感じていないと答えています。企業からすれば「せっかく仕事を任せているのに、なぜ不満なんだ」と感じることでしょう。

豊田:仮説ですが、ここでも細分化が影響していると思います。一連の仕事が、本当に顧客の声というところまでつながっていれば、こんなデータにはならない。なぜ手応えを感じないかというと、全体像が見えていなかったり、自分の仕事のつながりがわからなかったりしているせいです。

サカタ:なぜそのようなことが起こるのでしょう。上司は時間をかけてフィードバックしているし、感謝の言葉も言っていると思いますが。自分自身で仕事に手応えが感じられる。そういうものが必要なんでしょうか。

豊田:仕事に本当の意味での自立性があれば、暗黙的に仕事を任せたとしても、部下は自身でフィードバックが得られると思いますね。

サカタ:若手が育たない理由は、いろんなことを曖昧にしてきたために、仕事が見える化できていないこと。今は誰もが迷ってしまっているんですね。

「組織ごとに最適な人は全く違う」ことに企業は気付いていない

続いて、サカタ氏によるプレゼンテーション。エンジニアスキルを可視化するサービスを開発する過程で得た、「採用に課題を感じる前に、企業の人事としてやっておくべき作業がある」という気付きについて話を始めた。

「社員は『育たない=辞めてしまう』という図式にあると思います。なぜエンジニアが企業を辞めていくのか。実は辞めようと決意する、もう少し前にちょっとしたズレのようなものが、生まれているのではないかと考えています」

人材の採用、育成、配属のプロセスには、当然評価という仕組みが組み込まれている。しかし、サカタ氏は「その仕組みがきちんと機能しているのか、皆さんは考えたことがありますか」と参加者に投げかける。

「世の中に個人を把握するための指標やサーベイはたくさんあります。しかし、それぞれ指標がまちまちで、性能評価は手付かずなんですね。そのような状態なのに、現場では人が採れない、辞める、機能しないと、採用、育成、配置の担当者、さらには現場の管理職が、それぞれ、互いを責め合っている。何が問題なのかというと、そもそもの問題が発見できる、その仕組みがないことなのです」

「CODE.SCORE」では、まず、エンジニアの実務力を可視化する試験を作成、実施することから始める。その上で、企業が今まで実施してきた数多くの人事評価データを預かり、それをベースにエンジニア実務力との相関を分析する。さらに、今まで企業が測定できていなかった組織内の実態把握を、ごく簡単なアンケートを作成して実施する。それぞれのデータを組み合わせて、様々な角度から分析。採用・育成・配置のヒントを可視化するのだ。サカタ氏はこれによる可視化で、わかったことが三点あると語る。

「一つ目は『組織によって最適な人は全く違う』ということです。仕事に求められる実務スキルを主成分分析すると、同じ試験を受検してもらっても、企業によって『優秀な人材が持っている成分』がまったく異なっていました。これはA社で優秀な人が、B社に行っても活躍できるとは限らないことを示しています。これまで企業は『個人の優劣』しか見て来なかったのですが、実は優秀さは企業によって全く違う。しかし、そのことを理解する方法、少なくとも可視化する仕組みがありませんでした。まず、企業は自分たちがどんな人を求めているかを知る必要があります」

二つ目は「人は自分のことを理解していない」ということ。サカタ氏は、エンジニアの「得意なこと」「得意ではないがわかること」「不得意なこと」について、スコアと自己申告の相関を紹介。すると、不得意なものを得意だと認知している人や、得意なものを不得意だと認知している人が多くいることがわかった。

「これは認知がゆがんでいるということです。だから企業には、本人は得意と言っていながら使えない人がいる。逆に、もっとできる人なのに影に隠れている人もいる。どちらも、組織にとって不利益です」

サカタ氏はもう一つのデータを紹介した。エンジニアに「自分と同じくらいできる人は誰か」と聞いた上で、CODE.SCOREの成績と、自分と同等レベルと言った人の申告を図示したものだ。このデータからは、外から見る実力と、本人の本当の実力に大きなズレが生じているとわかる。

「当たり前のことなのかもしれませんが、働く人の多くは、自分のことも、他人のこともあまりよくわかっていない。ズレの傾向を見ると、同期の社員同士は同レベルと思っている様子がうかがえます。周囲がどんな仕事をしているのか、わかっていない分、自分と同じくらいの能力がある人はと質問されると、同期である、と答えてしまうのです」

サカタ氏は、ごく一般的な、他者による評価システムへの懸念として、「自分の能力を誤解している可能性」「他人の能力を正しく評価できない可能性」「自分自身への他者からの評価がゆがむ可能性」などがあると語る。要するに多くのズレが存在しながら、どの企業もそこに気付かず放置しているのが現実なのだ。

次にサカタ氏は、「正しく人材を配属」するための四象限の図を紹介した。これは人を「野心のあるなし」「能力のあるなし」の二軸でマトリックス化したものだ。

「『野心があり、能力もある人』を企業は欲しがります。でも配属を間違うと、くすぶってしまうんですね。すると、他では引く手あまたの人材なので離職する可能性が高い。さらに、人事にとって意外に厄介なのは『能力はあるけど、野心がない人』です。本当は積極的に採用すべきですが、この人たちは人事担当者が質問しがちな『あなたはなにがやりたいですか』という、野心のようなものを聞かれると、戸惑ってしまう人です。また、絶対採ってはいけないのは『野心はあるが能力がない人』です。この人は能力がない、けれどもやりたいことがある。やりたいことを強く押し出すので、組織は混乱してしまう。しかし、人事は、そもそもの能力を測る仕組みが正確ではないので、その人たちのやる気を重視してしまい、間違えて採用しがちなのです」

可視化でわかったことの三つ目は「やりたいことができないと辞める」ことだ。サカタ氏は「やりたいこと」「できること」は個人、組織によって全部違うと語る。それなのに、みんな同じように選ぶから失敗する。「違う」ことへの気づきが重要で、そうしないと組織内にほころびが生まれるわけだ。最後にサカタ氏は企業に対し、まず手を付けるべきは自社を振り返ることだと言う。

「なぜ人が辞めるかを考えるときには、まず組織の振り返りから始めていただきたい。ここまでお伝えしたように、『なぜ人が辞めるのか』『なぜ人を使えないのか』その理由が可視化できていなければ、自社に合う人は採用できませんし、自社でしっかりと働いてもらうことも難しくなってしまう。自社の問題点、特にエンジニア領域における採用、育成、配置の課題を知りたいときには、『CODE.SCORE』を、まずはご活用ください。本日はありがとうございました」

講演写真
本講演企業

リクルートキャリアが提供する「CODE.SCORE」は、自社にとって必要なITエンジニアを把握するための可視化・分析サービスです。ITエンジニア向けのさまざまな試験を用意しており、その受検結果と人事評価、年次、職位、年収などの人事データと組み合わせることによって、今まで多くの人が見過ごしていた組織の課題を発見。最適な人材育成や人材配置につなげます。

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