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特別講演[H-1]

人材・タレントマネジメントシステム導入・活用に、
失敗する理由・成功する鍵

大島由起子氏 photo
インフォテクノスコンサルティング株式会社 セールス・マーケティング事業部長
大島由起子氏(おおしま・ゆきこ)
プロフィール:株式会社リクルート、Hewlett-Packard Australia LtdのAsia Pacific Contract Centreを経て、2004年より現職。企業の人材マネジメントにおけるIT活用推進の支援を行う。著書:『破壊と創造の人事』(楠田祐・共著) ディスカヴァー・トゥエンティワン

近年、人材・タレントマネジメントを支援するためのシステムを導入する会社が増えている。しかし、最近、「うまくいっていない」事例が出始めているという。失敗する会社にはどのような共通点があるのか。システム導入に詳しい、インフォテクノスコンサルティングの大島由起子氏は、導入によって解決すべき課題とパッケージ製品ができることとのミスマッチがあると指摘する。システム導入の成功と失敗を分ける要因について、大島氏が語った。

【本講演企業】
インフォテクノスコンサルティングは、創業以来ビジネスに関る様々なシステムを開発してきた独立系の開発会社です。企業内の他の分野のIT活用と同様に、人事の分野でもシステムを活用して欲しいという思いから、Rosic人材マネジメントシステムシリーズの開発・導入支援を行っています。日本企業の「人材・タレントマネジメント」をITで支援するためにはどのようなシステムが必要なのか。人事業務に精通する技術・導入の担当者たちが、日々お客様の声を聞きながら、人材マネジメントに関わる人が仕事の質を上げ、経営戦略の実現に貢献することを目指して、システムを成長させています。その考えにご賛同頂いた90社以上の企業様にお選び頂いています。

システムを使いこなしている人事は本当に少ないという現実

インフォテクノスコンサルティングは、人事の分野に限らず、企業が活用するあらゆる業務アプリケーションを受託開発してきた。生産や流通の現場では、単に工数やコストを削減するという目的だけでなく、その業務の質を上げるためにも、システムやデータが活用されている。しかし、人事の分野は極端に遅れている。多くの資料作成はほとんど手作業で行われ、戦略的なデータ活用からはほど遠い。その現状を打破するために、開発されたのが、2003年発売の「Rosic(ロシック)人材マネジメントシステム」だ。

大島 由起子氏 Photo「そうした目的で生まれましたから、もともと給与や勤怠のシステムを持っていません。発売当時はそうしたコンセプトは一般的ではありませんでした。ですから営業に行ってもなかなか理解されない時期が続きました。しかし、そんなとき、私たちがお会いできるのは、何らかの形で人事のシステムに不満を持っている方々でした。ですから、『なぜ、人事のシステム活用がうまくいかないのか』を徹底的に知ることになりました。そして、2007年頃から、Rosicのコンセプトに賛同してくださる企業が急激に増えてきました。そこから現在に至るまで、ユーザー様と『どうしたら活用がうまくいのか。ビジネスに貢献できるのか』、に真剣に取り組み続けています」今日は、そうした長年の経験から見えてきた、失敗の理由と成功の鍵が語られた。

Rosic人材マネジメントシステムが世に出たのは2003年だが、日本で「タレントマネジメントシステム」の導入が始まったのは、2011年頃から。タレントマネジメントパッケージ市場は2011年~2012年で前年比19.9%増、2012年~2013年で15.5%増(予測)。Rosic人材マネジメントシステムへの直接問い合わせも、2011年~2012年で前年比4倍、2012年~2013年で前年比2倍と、急速に注目を集めるようになった。

「しかし、2014年に入った頃から、システムを導入した企業の方から『うまくいっていない』という声を聞くようになりました。その失敗の一番の原因は、人事の方が向き合っている課題の解決に必要な支援と、パッケージシステムが提供できることのミスマッチだと考えています」

戦略をパッケージで支援することの意味を理解すること

「タレントマネジメント」についての定義はいろいろと提示されているが、本質的には、競争優位性を生み出すための戦略といえるだろう。その支援をするシステムに求められるのは、自社の社員を、自社のミッションと、自社のビジネスモデルの中で活かす「独自性」と、市場の変化に合わせて、仮説・検証・実行を繰り返して解を探す「変化」への対応力だと大島氏は言う。

「基本的に、パッケージというのはベストプラクティスの集合体です。ですから、パッケージは、効率化やコスト削減が目的である人事業務や給与計算とはとても相性がいい。しかし、今取り組もうとしているのは、競争優位性を生み出すための戦略ですから、ベストプラクティスがすべてに通用する世界ではありません。つまり、本質的にはパッケージシステムとは相性が良くないのです。その点を押さえておくことが、肝要です。では、すべて自社でゼロから開発しなければいけないかと言えば、そんなことはありません。人材・タレントマネジメントという目的範囲がある程度決まった世界の話ですから、よく考えられたパッケージシステムであれば、その7~9割は対応できると考えています。私たちもメーカーとして、その実現に向けて常に努力をしています。ただ、ユーザーとしては、パッケージと戦略の関係を理解して、自社の戦略を、パッケージという枠組みでどのように支援していくのか、冷静に判断していただきたいと思います」

人事が「ビジネスに貢献するため」に必要なシステムに求められること

次に大島氏は、人事のビジネス貢献を、「短・中・長期のビジネス目標を達成するために、人材・組織の側面で支援を行うこと」とし、そのための人事のミッションのひとつが、ビジネスに必要な人材を提供することであり、実際に人材・タレントマネジメントを行う経営層や現場マネジメントが、正しい判断・決断ができる情報を提供することであるとした。そのための武器として、人材・マネジメントシステムを位置づける必要があるという。

「今、多くの企業が、『これから自社の人材・タレントマネジメントをどうしていこうか』と考えている段階ではないでしょうか。通常、皆さんが新しい課題に取り組むとき、どのような行動を取るかを考えていただくと良いと思います。まず必要な情報を入手し、比較、分析、シミュレーションなどを通じて課題を明確化し、試行錯誤や仮説検証、未来予測をしながら、解決策を模索していくのではないでしょうか。そうだとすれば、今、人材・タレントマネジメントシステムに求められているのは、柔軟な抽出・比較・分析・シミュレーションといった、思考・活動に使える柔軟な仕組みであるはずです」

大島 由起子氏 Photoしかし、今、ベンダー間のコンペでは、末端の機能の数や種類を競う「機能合戦」のようになるケースも少なくなく、本質的に重要なことが見えにくくなることがあるという。そして、実際のシステム選考の過程で、「自社のタレントマネジメントの成功に必要な支援・武器は何か」という問いから、「自社に合っていると思われるタレントマネジメントシステムはどれか」という問いに変わってしまうケースが少なくないと大島氏は指摘する。

「RFP(提案依頼書)と作成していくと、最初は森全体を見ていたはずなのに、だんだん中にある木一本一本(機能詳細)の話に集中して、全体を見失ってしまいがちです。実際に、それなりに機能が揃っていても、本来解決すべきことが解決できていなかった、という悲劇も起こっています。人事がビジネスに貢献するために必要なシステムとはどんなものか。人事が事業部をサポートしビジネスを成功させる上で必要なシステムとはどういうものか。人事が経営からの要求に確実に応えることができ、強力な武器となるシステムとは何なのか。システム選定に入ったときには、常に、こうした問いに立ち戻って考えることが重要だと思います」

活用の前提となる「人材データの一元化」は、実はハードルが高い

また、パッケージがどんなに使い勝手の良いものであっても、その前提として、必要な人材データがすべて一元化・可視化されていなければ、すべては「宝の持ち腐れ」だという。そして、人材データの一元化は、考えているよりもハードルが高いと語る。

「人材データを十分に活用しようとしたら、個別・非同期に起きる、さまざまな種類の履歴管理し、必要に応じて期間データとして扱い、さらにはそうしたデータを「基準日」できれいに取り出せるようにする必要があります」

他にも、扱いたいデータの種類の幅が広く、大きく変化すること。きめ細かいセキュリティーが求められること。そして、システム間のスムーズな連携が求められる点も、ハードルを上げる要因となるという。

「もしかしたら正解ではないかもしれない」を試せるのがシステムの力

最後に大島氏は、Rosic人材マネジメントシステムについて説明を行った。このシステムは、総合的な人材データベースであり、人材マネジメント支援ツールであり、人事のBI(分析・シミュレーション)ツールでもある。人材データ管理では、組織・人材分析や、業務プロセスのシステム化、現場マネジャーへのデータ提供、キャリアサポート(教育・配置)に活用ができる。

また、拡張性の高さから、各社のニーズにフィットしやすいという長所もある。例えば、ある仮説を立てて、その条件の対象者がどこにいるかを瞬時に見つけることも可能だ。

「例えば、従業員1万人を超える企業で社員アンケートデータをインプットし、、問題が潜んでいるグループはどこにあるかを分析したことがありました。年齢、勤続年数、入社年度、職種、地域など項目ごとに見ながら、そうしたグループがどこに存在するか、考えうる条件を設定して探していきました」

大島氏は、もしこれが手作業なら、担当者はこれが正解だと思う資料しかつくらなかっただろうと語る。作業時間が莫大なものになってしまうからだ。しかし、それでは単にわかっていることの検証となってしまい、意味がない。「システムを使えば、数多くの仮説検証が間違えることなく実行できます。もしかすると9割はハズレかもしれませんが、残り1割に見えていなかった姿が浮かび上がる可能性がある。このような思考検証が簡単にできる点に、システムを使う意味のひとつがあります。特にこれから自社の人材・タレントマネジメントをどうしていくのかを考えるという時期なのであれば、このように柔軟な試行ができるシステムを選ぶべきではないでしょうか」

人材・タレントマネジメントを支援するためのシステムには、柔軟性と拡張性がなければ、単なる閲覧システム程度にしか使えないという結果に終わってしまう。そのことを心に留めておいてほしいと来場者に語り、大島氏は講演を締めくくった。

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