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パネルセッション[B]

急成長ベンチャー企業社長が語る、
激変の2016 採用を勝ち抜くポイント
(協賛:株式会社ネオキャリア)

柳澤大輔氏 photo
株式会社カヤック 代表取締役 CEO
柳澤 大輔氏(やなさわ・だいすけ)
プロフィール:1998年、友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉からオリジナリティのあるWebやアプリ等コンテンツを発信する。2012年 カンヌライオンズ国際フェスティバル他、Web広告賞で審査員をつとめる。著書に「面白法人カヤック会社案内」「アイデアは考えるな」他。ユニークな人事制度やワークスタイルなど新しい会社のスタイルに挑戦中。

西澤亮一氏 photo
株式会社ネオキャリア 代表取締役
西澤 亮一氏(にしざわ・りょういち)
プロフィール: 1978年生まれ。2000年11月、新卒同期9名にて株式会社ネオキャリアを設立。2002年、代表取締役に就任。「人材・ IT・グローバル」領域にて、世界を代表するサービスカンパニーの実現を目指し、人材紹介、人材派遣、求人広告、採用コンサルティングなど企業のニーズに 合わせてトータルに採用支援を行う。

2016年卒採用から、企業による広報開始は大学3年生の3月1日に、また、選考開始は大学4年生の8月1日に後ろ倒しされる。新卒採用支援を行う株式会社ネオキャリア代表取締役の西澤氏は、大変革の2016年卒採用について「協定はあっても、その実態は無秩序状態になる」と予測するが、そのような環境の中、企業はどうすればいいのか――。第1部の講演では、西澤氏が2016年卒採用を勝ち抜く具体的な手法を実例も交えながら紹介。第2部のパネルセッションでは、株式会社カヤック代表取締役CEOの柳澤大輔氏が、西澤氏のファシリテートにより、自社のユニークな採用イベントの発想法などについて語った。

【本講演協賛企業】
新卒採用支援・中途採用支援・派遣を手掛ける総合人材サービス企業で、グループ企業には9社が連なる。
リーマンショック後、人材会社が軒並み業績を悪化させていく中、同社は1年で立て直し現在過去最高水準の業績を更新中。
海外展開もスタートし、国内のみならずシンガポール、タイを中心に事業展開を行う。

詳細を見る

西澤亮一氏による講演:
「3月前の接触、8月前の選考」が常識化する2016年卒採用

ネオキャリアは新卒採用支援の専門集団であり、これまでに1000社以上の実績を持つ。2004年に新卒採用コンサルティングを、2005年には国内初の新卒紹介事業を開始。2014年にはエンジャパンと業務提携し、新卒採用では大手と同レベルの顧客数を誇る。拠点は国内20、海外5ヵ所で従業員は約1000名。自社でも毎年新卒採用を行っており、2014年卒では140名を採用している。

「今日は私たちの採用手法を含めて、2015年卒採用、2016年卒採用を乗り切るポイントをお伝えします。採用の基本は『口コミ』です。良い学生は、口コミで動くからです。そのため、私たちが採用活動で心がけているのは、応募者全員に当社のファンになってもらうことです」

ネオキャリアでは、新卒採用に徹底したリクルーター戦略を取っている。「良い人材はより能力の高い人間にひかれる」との考えから、入社1、2年目でトップクラスの営業マンをリクルーターに指名。12月~5月は人事部に配置し、営業数字は持たせずに、個対個のコミュニケーションによる学生の説得を行わせている。

西澤亮一氏 講演photo「2015年卒採用をまとめると、四つの傾向があることがわかります。一つ目は、インターン実施企業の増加。二つ目は、母集団が充足した企業と不足した企業の二極化です。エントリー数を見ると、38%の企業は前年より減少し、30%の企業は増えました。ただし、増えたと答えた企業の大半は1000名以上の大手で、減ったのは中堅、中小企業です。三つ目は学生の大手志向。45%に増え、前年比プラス4ポイント。2012年から上がり続けています。四つ目は内定承諾以降の辞退者増です。3、4月に内定をもらい、5月の連休明けに辞退する人が増えました。2016年卒では、ますます増えると予想されます」

それでは、就活解禁が3ヵ月後ろ倒し、選考解禁が4ヵ月後ろ倒しとなる、注目の2016年卒採用はどうなるのか。「3分の2の企業が、8月前に選考を行うと答えたデータがあります。そして4割の企業が、ナビオープン前に学生と接触するつもりだと答えています。インターンや大学と直接話をするなどの方法です。現段階でこれだけ前倒しのデータが出たということは、実際はもっと増えると見ていいでしょう。協定はあっても、実態は無秩序状態になるのではないかと予想しています」

採用のスケジュール変更は、学生にどんな変化をもたらすのか。2015年卒採用では学生の三極化が起こった。一つ目は、トップ層でナビを使わずに決められる層。二つ目は、早期活動層で、ナビオープン前にインターンを体験するなど、12月より前に活動した層。三つ目は、解禁同時活動層。昨年のデータではトップ層5%、早期活動層33%、残りは解禁同時活動層。では、西澤氏は2016年卒採用はどうなると考えているのか。

「ナビサイトのオープンが3ヵ月後ろ倒しとなるので、早期活動層が増えることが予想されます。そこで気になるのは企業側の動向ですが、アンケートによればインターンシップ、学内のセミナーへの積極参加、各大学との直接連携で接触すると答えています」

また、今後はインターンの重要度が増すことが予想される。インターンに参加した学生がどれくらい影響を受けたかを、2014年卒の学生に聞いたアンケートでは、そのまま参加企業に入社が16%、参加業界に入社が25.5%と約4割の学生は影響を受けている。西澤氏は、この影響は2015年卒、2016年卒でもっと強くなると予想する。

「そのまま入社が四人に一人、参加業界への入社は半分程度と予想します。それほどにインターンの影響は大きくなるでしょう。インターンを実施予定の企業は2015年卒で26%ですが、2016年卒では35%と増加。企業規模別では、2016年卒は300人未満26%、300~1000人39%、1000人以上58%と大手になるほど多い。しかし、逆に考えれば同規模の会社が行っていない中小企業ほど、チャンスだと言えます。今後は中小企業も早期活動企業の仲間入りをし、インターンに取り組むところは増えるでしょう」

西澤亮一氏 講演photoまとめると、2016年卒採用は、就活解禁の直前である2015年2月までの動きで勝負は決まるということ。では、そこを勝ち抜くポイントは何か。西澤氏は3点を上げる。「一つは、インターンのスケジュールを攻略することです。これまで6月~12月がインターン時期でしたが、2016年卒からは6月~9月、10月~2月と二つに分かれると予想されます。前者は業界研究的要素で、後者は採用との連動性が高まるはずです。二つ目は就職サイトの使い分けです。2015年卒のインターンサイトは無料でしたが、2016年卒からは有料もある。2015年卒ではインターン掲載企業の4割は、エントリーが一桁で実施できなかったといいます。いかに人を集めるかは考えるべきです。三つ目は母集団形成ができるコンテンツを準備すること。インターンで何を学びたいかというアンケートでは『実際の仕事体験』が圧倒的。最低限このコンテンツは用意するとして、他に何を用意するかが重要になってきます」

混沌とする2016年卒採用だが、「早めの活動開始」は方針として間違いはない。

パネルセッション:
採用イベントで「心を動かし」好感につなげるカヤック

ここで鎌倉に本社を置くウェブ制作会社、株式会社カヤックの柳澤氏が登場。西澤氏とのディスカッションが行われた。

西澤:カヤックは毎年面白い採用イベントを実施されていることで、学生の間でも話題の会社です。例えば、社員が自分のブースを出展する「1社だけの合同説明会」や、4月1日限定で経歴詐称のエントリーができる「エイプリル採用」、カンニングOKの「全国統一面白センター試験」、バスで全国に出向く「旅する会社説明会」など。最初に、このような試みを始めた背景を教えていただけますか。

柳澤:人事部が企画しているのですが、全員がクリエーター上がりで、どうしたらインターネットで「バズる」(=SNSなどで話題になる)かを意識するようになりました。デザイナー、ディレクター、エンジニアの3職種のみの募集ですし、今年はどれを強化するのか大枠のテーマは設けますが、あとはネット上でいかに話題になるかを考えています。

西澤:社内でのアイデア出しはどのように行われるのですか。

柳澤:年1回、全社員で採用に関するブレストを行い、その結果を人事がヒントにしています。採用は年15~20名ですが、入社した学生には何が響いたかをヒアリングしています。ちょうど今「全社員の名刺に『人事部』と入れようか」という話が出ているところなのですが、社員全員が採用にコミットする文化は続けていきたいと思っています。

西澤:新入社員は、どのようなルートで入社していますか。また接触で工夫されていることはありますか。

柳澤大輔氏 講演photo柳澤:自社サイト経由は4割ほど。大手ナビが2、3割で他は紹介会社です。学生のころから当社を知っていたという人も半数います。社員の紹介、口コミも多いですね。正直、当社は人を口説くのは得意ではないので、何か作りたいものがあるようなエンジニアには、何が作れるかを個別に説明しています。似顔絵を描いた漫画名刺は、入社前に作ってあげたりもします。

西澤:学生の間で話題となるようなイベントアイデアを出す秘訣は何でしょう。

柳澤:学生の視点に立つことだと思います。例えば、これは美大生向けでしたが「卒業制作だけを見て、書類選考をパスします」という採用も行いました。美大生は就活するよりモノを作っていたい。そして、作ったもので評価してほしいんです。これはツイッターでシェアされ多数応募がありました。日程的に駆け込みでしたが、数名採用できています。

また、「旅する会社説明会」は、わざわざ地方学生がこちらに来るのは大変なので企画したものです。人事部が1週間で全国を回るのですが、わざわざ来てくれたと喜んでくれました。このように、学生が疑問に思うことに対し、解決する視点がこちらにあれば、バズることはある。これは何か本質的な感じがするからだと思います。ただ目新しいだけでは、「心が動いて好感」とまではいきません。

「本気の会社HP」と「最高の採用チーム」がよい人材を招く

西澤:カヤックなら大手ナビサイトを使わずとも採用できそうですが、今も使われている理由は何ですか。

柳澤:採用活動には認知とかブランディングの側面もあり、ある程度トラフィックも期待できるので、大手サイトは利用します。また、学生は雰囲気で会社を見ているので「この会社が伸びそう」「この業界が伸びそう」と感覚だけで人気が変わってしまう。「問題ありそう」とか「落ち目」と見られるのは避けたいですから、安心感を与える必要はあると思います。

西澤:2016年卒採用のポイントはどこにあると思われますか。

柳澤:今考えているのは、インターンでいかに差別化を図るかです。先日出た案は、「テラスハウス」という番組が流行していますが、宿泊施設と組み、インターンハウスをつくって地方学生に共同生活してもらうものです。実現は難しいと思いますが、地方学生向けの施策は打ちたい。また、ネット業界はここ2、3年、激しく人材を採り合っています。日本の新卒エンジニアのマーケットは2万人と言われますが、それだけは足りない。私たちも10月採用で海外から10名ほど採用しています。今後は国外にも力を入れないと厳しいので、国内とセットで考えたいと思っています。

最後に両社から参加者にメッセージが送られた。

西澤 亮一氏 柳澤大輔氏 講演photo柳澤:私たちは企業ホームページも作っていますが、採用活動においてホームページは情報源のベースになる大事なものと思っています。本当に良いものを作るとそれに比例して、新卒応募が増える感覚は実感値としてあります。ウェブ業界ですらそうですから、他業界やウェブに力を入れていない会社の多い業界で、圧倒的なコンテンツを持てば、予想以上の効果が出るはずです。私たちもビジネスでお手伝いしておりますので、気軽にご相談いただければと思います。

西澤:2014年卒、2015年卒で自社のウェブサイトを作り直したところ、最終内定承諾率が上がるという成果がありました。最終段階にいる学生はサイトをよく読み込むので、会社を理解してもらう上で大変効果があります。また、優秀な人を採りたいなら、その人以上に優秀な人が口説くことは効果的です。最高の採用チームをつくると採用できる人材が変わってきます。特に学生が見るのは、自分に近い世代の社員ですから、一度良い人が採れれば、その2、3年後にはまたより良い人を誘ってくれることにもなります。私たちも今年はインターン企画の提案に力を入れていますので、新卒採用についてご相談いただければと思います。本日はどうもありがとうございました。

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