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パネルセッション[B]

新卒採用支援のプロと企業人事のトップが語る、
未来志向の採用と人材育成
(協賛:株式会社ネオキャリア)

曽山 哲人氏 photo
株式会社サイバーエージェント 取締役人事本部長
曽山 哲人氏(そやま・てつひと)
プロフィール:1974年生まれ。上智大学卒業。1999年サイバーエージェントに入社し、2005年の人事本部設立とともに人事本部長に就任。 2008年取締役就任。現在は採用・育成など人事全般を手がける。幅広いテーマで社外への情報発信や、講演・教育活動も行っている。著書に『サイバーエー ジェント流 成長するしかけ』『最強のNo.2』などがある。

西澤亮一氏 photo
株式会社ネオキャリア 代表取締役
西澤 亮一(にしざわ・りょういち)
プロフィール:1978年生まれ、北海道出身。大学卒業後、2000年4月に投資会社へ入社。同年11月、取締役として株式会社ネオキャリアを 設立。2002年4月代表取締役就任。新卒・中途ともに人材紹介、求人広告、コンサルティングなど企業のニーズに合わせてトータルに採用支援を行う。現 EOジャパン17期会長も務める。

企業が新卒採用を行う際は自社の課題を明確にした上で、ルールの改正や市場の変化に対応しながら、採用する人数を決定し、求める人材を定義しなければならない。特に現在は変革期にあるだけに、来年、再来年と先を見据えた未来志向の準備が欠かせない。それでは、実際に企業はどのように対応すべきなのか――。第1部では2014年卒業予定者採用の振り返りから今後の想定される課題について、株式会社ネオキャリア代表取締役の西澤亮一氏が講演。第2部では、株式会社サイバーエージェント取締役人事本部長の曽山哲人氏が加わり、未来志向の採用と人材育成について、熱いディスカッションが行われた。

【本講演協賛企業】
新卒採用支援・中途採用支援・派遣を手掛ける総合人材サービス企業で、グループ企業には9社が連なる。リーマンショック後、人材会社が軒並み業績を悪化させていく中、同社は1年で立て直し現在過去最高水準の業績を更新中。海外展開もスタートし、国内のみならずシンガポール、タイを中心に事業展開を行う。
詳細を見る
第1部 講演「未来志向の採用 2015採用で取り組むべき採用のポイントとは」

今後の採用は「接触頻度」「スキルアップ」「スピード」で決まる

ネオキャリアは国内15拠点、海外2拠点で事業を展開。新卒・中途採用におけるコンサルティング、メディア事業をメインに、新卒・中途人材、中国人留学生、医療系人材の紹介およびヘッドハンティングを行うエージェント事業や、エンジニア、オフィス・コールセンターなどの派遣事業、独自開発の「挑戦する若手」を育成する若手特化型研修プログラムを中心とした研修事業などを行っている。「当社は、新卒の採用支援事業のキャリアが最も長く、一番の専門領域です。また、自社の新卒採用は毎年途切れなく続けていて、2013年度は80名の新卒を採用しました」と西澤氏。「新卒採用支援のプロ」と「新卒を採用する企業」の両方の立場から、新卒採用について解説していった。

まずは、2014年採用の振り返りからスタート。「データによれば、2014年採用は前年比114%と採用数が増えました。大手企業が採用数を増やしたためで、それに伴い大手へのエントリーは増えましたが、中小企業は減少。ただし大手は、数は増えても学生の質に満足していません。また、セミナーの時期を見ると、13年採用でうまくいかなかった企業が前倒しを行い、全般的に採用活動が早まっています」

2015年卒業予定者の採用に向けて、欲しい学生を採用するポイントは何か。西澤氏はそれを考える前に前提を二つ上げる。「質が担保できるだけの量を確保すること」「学生の動くタイミングを外さないこと」だ。

西澤氏 photo 「量の確保の方法としては、就職サイトへの掲載が基本。そして、企業ホームページの拡張も重要です。また、最近流行している学校訪問は、38%の企業が行っています。フェイスブックは集客用というより、会ったあとのフォローに使う企業が多いようです」

学生の動くタイミングを外さないためには、インターンシップ活用がカギになる。採用活動の3ヵ月後ろ倒しが話題になっているが、実現した際には学生を繋ぎ止める役目も負うことになりそうだ。「インターンシップナビを見る学生は、6月中で情報収集は終了しています。このタイミングを逃さないことです。インターンシップをまだ実施していない企業が多いので、始めるだけでもチャンスを広げられます」

では、ネオキャリアの採用活動はどうだったのか。2014年卒採用ではエントリー2万件、説明会集客4500名、内定承諾70名。「比較的順調でした。有名企業に内定をもらい、最終的に当社を選ぶ学生も多くいました」

ネオキャリアでは2012年5月、新宿に「就トモカフェ」をオープン。就活生や学生が月間約2000人訪れるそうで、これまでに1万人を超える人たちの話を聞いてきたという。「就トモカフェ」を通じて得られた情報から、西澤氏は以下の3点を、新卒採用のポイントとして挙げる。

(1)接触頻度を増やす

「接触頻度が高いほど、内定承諾が多い傾向にあります。ポイントは、いかに人事以外の社員と接触させるか、そして学生に想像を越える驚きを提供できるかです」

(2)面接官・リクルーターのスキルをあげる

「企業への志望度が上がったきっかけとして、面接が36.6%、先輩社員との接触が21.3%というデータがあります。半数以上は会った人で入社を決めるのです。面接官・リクルーターのスキルを上げるポイントは、人選に細心の注意を払うこと、そして研修をきちんと行うことです」

(3)スピード、スピード、スピード

「ネオキャリアでは、欲しい学生にはすぐに連絡します。面接の場で内定通知を渡すこともあります。健全なえこひいきは、いとわないことです」

ネオキャリアでは、これらのノウハウをもとに「Strategy(採用戦略の立案)→Entry(知る~出会う)→Contact(セミナー~選考)→Fix(内定~入社)」と採用段階に応じた支援を行っている。また、Outsourcing(学生の管理・連絡代行・セミナー代行)も行っている。

「戦略の立案から行い、要件が決まっていればエントリー、応募数を増やす方策や、内定承諾を得るための工夫など、企業の課題に応じたサービスやアドバイスを行います」。第1部では、ネオキャリアが蓄積してきた、多くの採用ノウハウについて聞くことができた。

第2部 パネルセッション「未来志向の採用と人材育成」

「ブログ活用」「人材投入」で顔が見える採用を実践

第2部では、サイバーエージェントの曽山氏を迎え、パネルセッションを実施。「優秀な人材を採用するために何をしているか」「若手人材の育成に効果が出ている仕組みとは」など、白熱のセッションが行われた。

西澤:まず、サイバーエージェントが新卒採用で重視するポイントについて、お聞かせいただけますか。

曽山氏 photo曽山:採用のポイントは三つあります。一つ目は接触頻度です。弊社の場合、面接回数はほぼ6回で、少なくて4回。面接回数が多いことはとても重要で「会ううちにサイバーエージェントが好きになった」と言ってくれる学生はとても多いですね。ちなみに、2013年度は210名を採用しましたが、私が面接で1年間に会う学生は300~400名です。二つ目は採用への人材投入です。採用は、人事だけに頼らないことが大事です。弊社では単体社員の2割、250~300名を採用チームにアサインしています。三つ目はインターンシップの重視。面接は、企業側は自社をよく見せ、学生側は自分をよく見せる、言わば化かし合いの場です。その点でインターンシップには価値があると思います。

西澤:サイバーエージェントは、大変優秀な人材を採用されていますが、何か心がけていることはありますか。

曽山:意識するのは、同じ形式の採用を続けず、毎年方法を変えることです。そこで大事にしているのは、新しい採用手法を考える人事内のプレゼン大会です。数名が1組になり、各組とも3案ずつ出してもらいます。私よりもメンバーはたくさんの学生に会っていますから、学生の声を踏まえたアイデアの提案を期待しています。以前には、ブログ、ツイッターの記事を見た人だけがエントリーできる秘密のセミナーを実施したことがありました。当社は新サービスを多く立ち上げていることもあり、感度が高い学生、挑戦する学生に会いたいですね。

西澤:ソーシャルメディアは、どのように活用されていますか。

曽山:役員8名が書いているブログが、新卒採用でも効果を発揮しています。役員それぞれが仕事のことや、社員とのやり取り、将来に向けたメッセージなど自由に発信しているのですが、学生からは「よく顔が見える会社」だと言われます。社員にも、ブログを書くように勧めています。

内定時から「同期力」を育て、早期離職を抑える

ここからは、新人育成の話へ。新人にどうやる気を出させるか、また、戸惑いが生まれたときにどうフォローしているか。サイバーエージェントの具体的な手法を聞くことができた。

西澤氏 photo西澤:御社は、若手人材の育成にも注力されていますね。

曽山:社内には、40歳以上の社員がほとんどいません。若い会社なので特別かもしれませんが、今は抜てき人事を増やし、挑戦の場を与えています。子会社社長に若手を抜てきし、あらゆる裁量権を与え、経営をやらせるのです。40名いる子会社社長のうち、30名は20代です。神戸大学大学院の金井壽宏先生もよく言われますが「リーダーを育てたければ、リーダーをやらせる」。これにつきると思います。当社社長の藤田は24歳で会社設立、26歳で上場させました。後任を育成するなら早いうちに大きな経営判断をさせないと、藤田を超える人材は出ないと考えています。

西澤:新人研修は、具体的にどのような内容で行われているのですか。

曽山:当社の新人の離職率は入社3年で7%程度。低い理由は、同期のつながりの強さです。内定時から同期同士の絆を強くすることを目的として、研修を行います。五人一組で1ヵ月かけて自己紹介ビデオをつくるのですが、途中で意見が合わなくても、互いを理解し団結するようになります。私たちは「同期力」と言っていますが、横の連携が強くなる。また、入社後に新人全員が参加する研修は2週間。いろいろなメニューがありますが、人気は弟子入り研修で、二日間、現場の先輩社員に付いて勉強します。配属部署と、弟子入りする部署は関係ありません。現場を経験するとマナーも覚えるうえ仕事の厳しさも理解するので、2週間ある研修の中でも早いタイミングで行っていますね。他には役員8名が各々講義を行っているほか、2泊3日の合宿研修では五人一組で新規事業の提案を行っています。

西澤:配属後、新人向けに定期的に行っている研修はありますか。

パネルセッション photo曽山:事業部に配属されると育成がブラックボックスになってしまうという問題があります。そこでスタートアップ会議といって、新人を月1回1時間だけ全員集めて研修を行います。3分で「この1ヵ月何をしたか、どんな学びがあったか」をA4紙に書かせ、アウトプットしてもらいます。それを5~10人で共有し、30秒で一言コメントを書き込む。新人は自分を特別と思いがちなので、同期で仕事での痛みの共有をさせるのです。そして、インプットではこの研修の前週に、育成担当者で会議を行い、新人の問題点などを事前に確認。新人ができていない点をピックアップして当日学習させます。To Doができていなければ、社内でうまい人に講義してもらいます。

西澤:サイバーエージェントの事例を通じて、今後どのように新卒採用や人材育成に取り組んでいけばいのか、参加された皆さまもヒントを得ることができたのではないでしょうか。未来志向の採用と人材育成に向けて、人事の皆さまのご活躍を期待しています。本日はありがとうございました。

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