イベントレポート

HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 第4回HRカンファレンス  > 特別講演[C] 選択肢(オプション)を利用した人材育成と組織づくり~標準化と進化の両立を目指して~
特別講演[C]

選択肢(オプション)を利用した人材育成と組織づくり
~標準化と進化の両立を目指して~
出展:株式会社日本経済新聞出版社

秋山 進氏
プリンシプル・コンサルティング株式会社 代表取締役
秋山 進氏(あきやま すすむ)
プロフィール:京都大卒。リクルートで事業開発などに携わった後、インディペンデント・コントラクターとして複数のトップ企業のCEO補佐を行う。 その後、全社リスク管理やコンプライアンスのコンサルティングに従事し、製造業、流通、IT、商社などにおいて、攻めと守り、変化と秩序を両立させる組織作りに携わってきた。著書多数。

「意識の共有」が生き残る組織への鍵

秋山 進氏今日は、変化の激しい市場の中でも生き残っていける企業になるための、選択肢(オプション)を利用した人材育成と組織づくりについて、お話しいたします。

生き残る組織になるためには、一体性を保ちながら環境の変化を受容し、システムを強化、変化させていくことが必要です。そのような組織になるには、三つの条件があります。

(1)エネルギーの方向性「求心力と遠心力」
現在は厳しい状況で、社員のエネルギーが落ちている企業も多いと思います。何とか復活させなければいけませんが、そこには二つの方向性のエネルギーが必要です。

一つ目は求心力です。自分たちはそもそも何屋なのか、社会貢献していることは何か、達成したいことは何か、といった強い自己イメージを共有することから、連帯感を育みます。二つ目は遠心力です。先輩たちや現在の成功体験を共有することで、自信を育て、変化に挑戦する意欲を生み出します。

(2)既存組織の改善「標準化とシステムの改善」
完璧と思われるところにもムダはあります。仕事能力の底上げや標準化により、機能を先鋭化しなければなりません。そして新たな試みを組織の行動システムに組み込み、システムの機能アップも図る必要があります。

秋山 進氏/講演皆さんに事前アンケートをお願いしたのですが、「業務の標準化がうまくいかず困っている」という声がありました。実は標準化への取り組みは、どんどん進む企業とまったく進まない企業しかなく、その中間はありません。まったく進まない企業はなぜそうなるのかというと、ノウハウを持つ社員が自分の損になるからと出さないのです。

標準化が進む企業では、逆のことが起きています。ノウハウを出す人が得をするとわかっているのです。ノウハウを出す人は、皆に説明しなければなりませんから、整理し体系化して出します。すると社内で「この分野はあの人が詳しいから聞いてみよう」となり、どんどん質問に答えるうちに磨かれ、プロフェッショナルになっていきます。こんな成長の実例を見ている周囲の人は「ノウハウは出したほうが得だ」と考えるようになるのです。

(3)事業と組織の変革「逸脱化と構造変革」
これまでと同じことをやっていても状況は変わりません。積極的にチャレンジの数を増やし、タブーにも挑戦していく、それが「逸脱化」です。タブーには、多くの事業のネタが隠れていることが多いものです。タブーといってもルールを破るというものはもちろんできませんが、例えば、以前失敗した海外進出がタブーになっているなど、時期が違えば成功できるようなネタがタブーになっていたりします。

もし新たな挑戦が成功したら、それを組み込むために根本的なシステム構造の変革も行わなければなりません。そこで参考になるのは、その企業で以前行われた構造変革を実施した人の体験談です。その人を語り部にして、会を持つこともいいでしょう。変革の中には、その企業らしさも見つかるはずで、大企業での大きな話を聞くよりも参考になる話が聞けるはずです。

選択肢問題で「意識インフラ」をつくる


生き残る組織にもっとも必要なことは、「意識インフラ」を作ることです。「意識インフラ」とは、何が正しくて、何が求められ、何を達成したいのかといった共通認識を社員全員が持つ状況のことです。

ピンチを乗り越えてきた歴史と方法実は、日本の企業はこれまで、意識インフラ作りが自然とできていました。いわゆる飲みにケーションや、仕事の合間の雑談が、意識共有を支えていたのです。しかし、これらがなくなった今では、意識インフラを教える仕組みをつくる必要があります。私の会社では、研修やEラーニング、飲み会の場で、意識インフラについて話せるきっかけになるものをと考え、企業が遭遇する場面ごとの問題および選択肢を提示しています。右のスライドは、実際にある企業が使った問題です。

これは、ある企業の社長と社員との飲み会で出された問題です。当日はこの問題をきっかけに、社長と社員の会話が盛り上がりました。もちろん答えは会社ごとに異なりますが、この会社の答えは(2)でした。(1)はそもそもこの会社の商品が粗利率の高い商品だったため、効果が見込めないので×。(3)は「ピンチのときこそ、他人の手を借りずに自分たちで乗り越えるべき」という社長の考えから×でした。

問題作成では選択肢ごとに、会社の過去の実績や分岐点となったエピソードも絡めて作成すると、その場での話が発展したり、深まったり、という方向性が期待できます。ぜひ皆さんの企業でも、意識インフラを作る話し合いのきっかけとして、選択問題による訓練を行ってみてはいかがでしょうか。

株式会社日本経済新聞出版社ロゴ

株式会社日本経済新聞出版社

  • イベントレポート一覧
参画をご希望の企業様
お問合せ先
株式会社HRビジョン 日本の人事部 「HRカンファレンス」運営事務局
〒107-0062
東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
TEL:03-5414-2219 E-mail:hrc@jinjibu.jp
株式会社アイ・キューは「プライバシーマーク」使用許諾事業者として認定されています

このページの先頭へ