――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

西嶋：グローバルな競争が激化する中、組織や事業を牽引する強いリーダーの存在が求められています。競争が激しく、不確実性の高い状況では、先行きが不透明な未来を読み解き、方向性を示すリーダーの質が企業の競争力を大きく左右するからです。そのため多くの企業で、次世代リーダーの選抜型育成は、人材育成上の課題にとどまらず、経営上の重要な課題の一つとなっています。しかし一方で、多大な費用と時間を割いて、次世代リーダー育成の研修を行っているにもかかわらず『将来、事業・組織を率いる人材＝次世代リーダー』が不足していると言われています。特に、グローバル展開を進める大企業であるほど、その不足感は大きく、外国の企業と自社を比較し、焦りを感じると回答する経営者もいます。次世代リーダーの育成は、企業単体の問題ではなく、日本経済そのものの重点課題と言えるでしょう。

本講演では、現役世代リーダーと次世代リーダーとの「環境の違い」を考察し、現在、多くの企業で行われている、いわゆる「次世代リーダー育成」の課題を明らかにします。その上で、次世代リーダー候補を育てていくうえで必須である、「良質な経験」を計画的に与えるために、「エンパワーメント＝計画的権限委譲」の考え方を紹介します。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

西嶋：グローネスでは、「解りやすい研修」「受講者が元気になる研修」を目指しています。抽象的な概念用語は多用せず、用いる時も明確に定義を行い、講師の実体験を交えながら、研修を実施しています。本講演のテーマである「次世代リーダー」「エンパワーメント」という言葉についても、講演の中で明確に定義を行い、弊社の考え方に基づいた研修プログラムをご紹介いたします。

私は今年の5月末まで、子会社の経営者として、数百人を率いていました。「大手電機メーカーの営業責任者⇒会社経営者」という実務経験をご評価いただき、経営者から個別のご相談をいただいたり、部課長研修の講師などのお話をいただいています。「組織を束ねる」ということは、きれいごとではありません。私なりに工夫をしてきたこと、苦労をしたことなどをご紹介しながら、今後求められる「リーダー像」について、皆さんと考えたいと思います。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

西嶋：この数年、研修業界内でも「次世代リーダー」という言葉が聞かれます。しかし「次世代リーダーとは何か？」という根本的な定義が曖昧で、イメージのみが先行しているのではないでしょうか。本講演では「次世代リーダーとは、将来、事業・組織を率いる人」と定義します。次に、現役世代リーダーの成長プロセスを振り返り、過去と現在の違いから、次世代リーダーが適応すべき環境変化と引き継ぐべき意志を明らかにします。目指すべき次世代リーダー像を明確にした上で、次世代リーダー候補者を計画的に（OJT/Off-JTの両面から）育成をするための方法の一つとして「エンパワーメント」の考え方をご紹介します。